第5頁「ラスト・フライング」
カニーナちゃんは、遠い空の彼方へと飛んでいってしまいました。短かったけれど、とても楽しかったです。
「れいなー!今日からまた学校でしょう!起きなさい!」
「はーい。」
(今日からまた学校か。頑張ろう・・・。)
「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい!」
カニーナちゃんがいなくなって、あたしは普通の生活に戻りました。
「はい、じゃぁこの問題を・・・井鳩部!答えられるか?井鳩部?井鳩部!」
「はっ、はい!?」
「珍しいな・・・。問題文はしっかりと聞きなさい・・・。」
「・・・はい・・・。」
チャイムがなって、私は窓の方を見ていました。短い時間だったけれど、あの時間はあたしにとってとても充実していました。初めて会って、街も紹介して、もう少しで仲良くなれそうだったのに・・・。
「れいな、今日なんかいつもと違うよ?どこか調子悪いの?」
「べ、別になんでもないよ!昨日寝るの遅かったからかな・・・アハハ・・・。」
放課後になり、部活もしていないあたしはそのまま家へと帰りました。
「ほんとにどうもないの?れいな。今日の授業も珍しくボーっとしてたし。」
「実はね・・・。昨日の夜に、友達になれそうだった女の子がいたの。でも、その子が自分のお家に帰らないといけなくて、帰っちゃったんだ・・・。」
「また会えるといいね・・・!」
「うん・・・!」
「それじゃあまた明日!」
「うん!また明日!」
悲しい気持ちを少しこらえながら、あたしは家のドアを開けました。
「ただいまー。」
「おかえり、れいな!さあ、お茶にしよう!」
「うん・・・。」
「カニーナちゃんに会えないのは辛いけど、それでも前向きに過ごさないと。ほら!おばあちゃんも言ってたでしょう!『毎日を前向きに過ごせば必ずいい事がある』って!日々を楽しく過ごしてたら、いつかカニーナちゃんにも会えるよ!」
「ありがとう・・・!お母さん!」
あたしの目からは涙がこぼれました。そしてお母さんの言葉のお陰で、少し前向きになれた気がします。
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