第六空間戦闘
「へえ」
「意味分からんな」
「仕方ないだろ。サイバー空間の戦闘はどう頑張ったってこういう書き方になる」
「じゃあ、この次は何なの?」
「思想戦闘」
「え。そんなん普通に行われてるじゃん今も」
「思想の意味が違う。人間の脳はこれまで未知の部分が多いブラックボックスだと思われてきた。未開の能力がたくさんあるってな」
「うん。わたしもそう思うけど。人間の神秘的な」
「
「え」
「人間は、脳の力をほとんど使い尽くしていて、実際のところ未知の部分というのは数パーセントしか残っていない。その数パーセントも、たいしたことはない能力しか持っていない」
「まじで?」
「だからこそ、人間の脳がたいしたことないと分かってしまったからこそ、その脳に直接思想や行動を映し込むことで戦闘を起こすことが可能になる」
「なんだっけ、サブリミナル的な?」
「厳密には違うけど、まあそういう理解でもかまわん」
「つまり、わたしたち全員、知らないうちに操作されて戦わされてる、ってこと?」
「そうだよ。隣の国が憎いだろ?」
「うん」
「それは『仮想敵』だからだ。実際はどうでもいい隣の国を、敵として憎むように思想を誘導されてる」
「なんか変な感じ。おかるてぃっく」
「そう。おかるてぃっくだ。そういう『本当ではないこと』や『神秘的なあやしいこと』を利用して、思想で戦う時代が来る。信念や理想とかではなく、人間の原始的な欲求を利用した戦闘がな」
「時代の針進んでるのこれ」
「一周回って石器時代とか、そんな感じだな」
「ばかじゃん」
「そうだよ。人間は脳に未知の力があるかもしれないなんてばかなことを考える、ばかなやつらだよ。さあ、行くぞ。戦闘開始だ」
第五空間戦闘の夜明け (第五空間戦闘) 春嵐 @aiot3110
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