第6話
「風の力をここに示せ」
ユーファは再び、風の魔法を使う。風はかまいたちになって、竜の目を襲った。竜はそれを嫌がり、ユーファたちから視線を逸らす。
その隙にシルメとヒューイが、竜との距離を一気に詰める。シルメが竜の足に剣を突き立て、ヒューイが槍を竜の手に突き立てる。
二人の剛力が、竜の足と手を切断する。
竜が痛みを訴え、シルメとヒューイを炎の吐息で燃やし尽くそうとする。だが、その前にユーファが魔法で水の盾を出現させる。水の盾は竜の炎を防ぎ、同時に竜の視線から二人を隠した。竜の息吹の威力が弱まったとき、二人の姿はもうそこにはなかった。
「あれ。二人は、どこに?」
ゲリアは、呟いた。
その気持ちは、竜も同じだっただろう。シルメとヒューイを探して、首を動かしている。ユーファだけが、笑っていた。
「上だ。上」
ゲリアは、空を見た。
そこには、高く飛び上がったシルメとヒューイがいた。二人ともそれぞれの武器を構えながら、竜よりも高い位置から落ちてくる。
「まさか……!」
ゲリアは、呟いた。
竜の骨は、硬い。だが、二人は既に一度竜の骨を断ち切っている。
「まさか、本当に……」
シルメとヒューイの大剣と槍が、竜の首に落ちてくる。
二人の武器が、竜の首を切断した。
二人の男の上から、竜の血が降ってくる。一拍置いて、竜の巨体が地面に伏した。どしん、と大きな音が森に響き渡った。
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