第11話ブルーデストロイ・モンスター【ショートショート】

私はナナシ、今回はとても凶暴な生物に遭遇した話をいたします。




その日は春の陽気でとても過ごしやすい一日でした。


ポカポカと温かい日差しで、私は公園の立ち入り禁止の芝生に入り、昼寝をしたのです。


どれくらい寝ていたのでしょう。


目が覚めると、私の頭の横に何かがいる気配に気付きました。


私は横目で確認すると、ボヤーッと青いモノが視界に入ってきたのです。


公園の芝生にある、青いモノを連想しましたが、思い当たるモノは何一つありません。


私はこのわからない存在を徐々に恐怖していきました。


そして、頭を少しづつ移動させて、その青いモノを確認したのです。


すると白い何かが視界に入ってきました。


そこにあったのは、まんまるとした目玉でした。


その目は瞬きもせず、白目の中央には真っ黒な黒目があるのです。


その両目は常に私を至近距離で見つめ続けています。


その圧倒的な眼力の前に、更なる恐怖を覚えるのです。


私は恐怖で硬直した頭を、無理やり動かし青いモノの全体像を確認しようとしました。


それは、私の使命だと思ったのです。


この青いモノは、この平和な地球を脅かす危険な存在かもしれません。


場合によっては、私が速やかに退治しなければならないと思ったのです。


そして全体像を確認した私は、体中の血が凍るような感覚に襲われました。


その青いモノは、頭部だけの生物だったのです。


しかも、頭は水滴のような形状をしており、口はいやらしいく常に笑っているのです。


まさに、想像絶するモンスターが私の目の前にいたのです。


そのモンスターはまったくの表情を変えず、今も私を見続けています。


私は視線だけで殺されると思いました。


ギリシャ神話ではメデューサという、見たものを全て石に変えるモンスターがいます。


私にはこの青いモンスターが、メデューサのような存在に感じたのです。


私はこのままではマズイと思い、近くにあった立ち入り禁止の看板を引き抜き盾の代わりのように構えました。


今度は武器になるようなモノが必要と思い、周りを見渡します。


そして、すべり台の付近で遊ぶ5歳ほどの子供に駆け寄りました。


そして、その子供が持っていたマジックハンドを奪ったのです。


マジックハンドを奪われた子供は泣け叫び、その親を激怒していましたが、地球の平和の為には致し方ない代償です。


私は颯爽とモンスターの元へと向かい、奪ったマジックハンドと立ち入り禁止の看板を構えました。


その立っているのはまさしく、伝説の剣と盾を構えた勇者がいるのです。


私は自分自身をそう思いました。


そして、いざ勝負!という時に私は愕然としてしまいました。


なんと、青いモンスターの姿が見えません。


私が子供はからマジックハンドを奪った時に、モンスターが逃げていたのです。


きっと、私の子供からマジックハンドを奪う勇敢な姿を見て、モンスターは退治されると思い逃げ出したのでしょう。


私の中に地球を守ったという達成感が満ち溢れていました。


そして、家路につこうとした私を引き止める存在が現れたのです。


そこには、先程の親子の他に公園の警備員が立っていました。


その後、私は親子と警備員を連れ、公園の事務所へと向かったのです。


それはまさに、冒険を旅経とうとする勇者を先頭とした4人パーティーのようでした。




それから3日間、私は公園の清掃をさせられる事になったのです。

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