第7話フラットキャット・ガール【ショートショート】

私はナナシ、今回も私が体験した不可思議な経験を紹介いたします。


その日、私は一人で遊園地にいました。


遊具には乗らず、フラフラを歩いていると、コーヒーカップが回転する遊具に人間とは思えない生き物が乗っていたのです。


回転するコーヒーカップで、はっきりとは認識する事は難しかったのですが、頭部だけははっきりを認識できました。


その生き物の頭部は全体的に真っ白で、小さな豆粒程度の目らしきものが有り、頭部の中心には黄色い楕円形の部位が存在しました。


横になった楕円形は位置的に鼻のようなモノだと思われます。


そして、左上部の位置に真っ赤なリボンが付着していました。


顔の側面にはシンメトリー状に、細い針金状はモノが3本づつ、飛び出しているのです。


更に驚くべき事に、口らしきモノが存在しないのです。


皆さんはどうして、頭部だけがそんなにはっきりと、認識できたと思いますか?


私は恐ろしくなり、これ以上語るのと、唇が震えてしまいそうですが、決意を決めてお伝えいたします。


なんと、その生物は常に私の方向に顔を向けているのです。


コーヒーカップという遊具を連想してください。


コーヒーカップは大きな円を描くように回り、更にコーヒーカップ自体も回転する構造になっているのです。


その二重に回るコーヒーカップに乗った生物は、常に私を見つめ続けるのです。


そのときの私は、その異常なまでの光景に身震い、本能的な恐怖を呼び覚まされ、悲鳴を上げてしまったのです。


グルグル回転するコーヒーカップに乗り、顔は常にこっちに向いているのです。


頭部は固定されたまま、胴体は何百回と同じ方向に回転しているのです。


首が引き千切られてもおかしくありません。


それなのに、頭部と胴体はくっついたままなのです。


私の思考は現実を理解できず、これは夢かと思い、近くにいた遊園地のマスコットキャラクターを、力任せに殴っていました。


殴った拳はヒリヒリとした、痛みを感じています。


痛みを感じているという事は、やはり現実です。


私の隣では、殴られたマスコットキャラクターが激怒していましたが、目の前にいる、その不気味な生物と比べれば、たいした事ではありません。


その時です!


何を思ったのか、その生物は両手を激しく動かし、コーヒーカップを高速で回すのです。


高速に回るコーヒーカップの為、生物の胴体を目で追うのた難しく、残像のように目に映るのです。


しかし、それでも顔だけは私を見続けています。


私は気の狂った怪鳥ような「キィェェェェー!」という、悲鳴を上げてしましました。


そして、立ったまま気を失ってしまったのです。




気が付くと、マスコットキャラクターに連れられて、遊園地の事務所の方へと向かっていました。


その先には、険しい顔をした警官が立っているのです。


私は思いました。


その警官は、私をあの不気味な生物から守りき来てくれた英雄なのだと。


そして私は、そのまま暴行罪の疑いでパトカーに乗りました。




私はそれから3日間、コーヒーカップを使って、飲み物を飲めなくなりました。

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