おっぱいを感じながら旅行

「……めちゃくちゃ眠い……」


 都から告白されてから数日たった学校が休みの土曜日、大輔は星野家の皆と朝早くから車に乗っていた。


 熟睡していたところに都姫と達也がやってきて、「二人が付き合った記念に旅行に行こう」と言ってきて連れ出されたのだ。


 正確には恋人同士の一歩手前だと訂正するのを完全に忘れていた。


 昨晩は次の日が休みだから遅くまで都の胸を感じながらアニメを見ていたため、先程から欠伸が止まらない。


 本当だったら家で寝ていたいが、先日誕生日を祝ってもらったからあまり断りたくなかった。


 なので言われてから急いで準備をし、星野家と一緒に旅行に行くことになったのだ。


「しばらくは車に乗ったままだから寝ててもいいよ」


 運転している達也からの言葉に頷いた大輔は、車に乗ってから胸を押し付けてくる都の肩に自分の頭を乗せた。


「なあ、今月って中間テストだよな?」

「そうですね」


 小声で質問すると都が頷く。


 今月……正確には再来週の月曜から三日間中間テストで、普通は旅行に行くよりテスト勉強しなくてはいけないだろう。


「私と大ちゃんの実力なら大丈夫ですよ」


 確かに数日勉強しなかった程度で赤点を取るほど出来ないわけではない。


「それに……この旅行で沢山誘惑、しますね」


 完全に耳元ではないが、都の甘い囁きが聞こえた。


 両親がいるとはいえ旅行なのだから、誘惑にはもってこいのイベントだろう。


 誘惑すると言う割には丈の長い白の花柄のワンピースと露出が少ないのは、他の人に素肌を見られたくないからだろう。


 二人きりになった時に素肌を見せればいいだけなのだから。


「まあまあ、孫が楽しみね」


 助手席に座っている都姫は本当に楽しみのようで、後ろの席に座っている大輔たちの方を向いて目を輝かせた。


 どうやら都の言葉が聞こえたらしい。


「私たちも子供作っちゃおうかしら」

「娘たちの前でそんなこと言うものじゃないよ。でも、二人のイチャイチャを見てたらしたくなっちゃうね」


 この旅行のおかげで都には来年あたりに弟か妹が出来る可能性が出てきた。


 両親のそんな言葉を聞いて恥ずかしくなったのか、都の頬が赤く染まる。


「限界だから寝る」

「はい。寝てる時もいっぱい私を感じてくださいね。おやすみなさい」


 都にの胸と甘い言葉を感じながら瞼を閉じた。


☆ ☆ ☆


「ここが箱根か」


 都心から車で一時間と少し、大輔たちは目的地である箱根に到着し車を降りた。


 普段住んでいる場所より標高が高いせいか少しだけ気温が低く、日中は過ごしやすいかもしれない。


 箱根にしたのは一泊二日で行ける距離でのんびり出来るから、というのが理由のようだ。


 ゴールデンウィークを過ぎたということで、何とか予約を取れたのだろう。


「車は駐車場に止められるし、荷物を旅館に預けて楽しみましょ」


 早く観光を楽しみたそうな表情の都姫の言葉に皆頷く。


 これから泊まる旅館は宿泊者であれば朝から車を止めるのと、荷物をチェックイン前に預けることが可能らしい。


 その分当日にキャンセルしたら宿泊料金を全額取られてしまうようだが、キャンセルしないから問題ないだろう。





 早速荷物を旅館に預け、大輔たちは箱根観光を開始する。


 まだ十時前だからお店をやっているとこは少ないが、朝早くからやっている足湯カフェに入ることにした。


 飲食をしながら足湯に浸かることが出来るカフェで、他にも早く箱根に来た観光客も満喫しているようだ。


 箱根は有名な観光名所だし、土日となれば人でいっぱいになるだろう。


 陰キャでオタクの大輔には人混みが苦手なのだが、来ちゃったものは仕方ないから楽しむしかない。


 大輔たちは空いている席に着き、靴と靴下を脱いで早速足湯に浸かる。


「気持ちいいわね」


 都姫の言葉に皆頷く。


 足湯は熱くも温くもなく調度いい温度で、足から全身に温もりが伝わってくる。


「大ちゃん、ここでも私を感じてください」


 隣に座っている都が胸を押し付けて甘い囁きをしてきた。


 えへへ、と笑みを浮かべている都は、人前であってもイチャイチャするのに慣れてきたようだ。


「あなた。私たちもしましょう」

「ちょ……」


 娘たちがイチャイチャしているのを見て我慢出来なくなったのか、都姫が旦那の達也に自分の胸を押し付けてくっつく。


 積極的なところは母娘そっくりなのかもしれない。


 人前でくっつかれて恥ずかしそうにしている達也だが、満更ではないといった表情だ。


 四十代になっても男というのは美女とイチャイチャ出来るのは嬉しいらしい。


 見た目は二人とも三十代半ばだが。


「大ちゃん、もっと感じさせてあげます」


 胸を押し付けるだけでなく、足湯でワンピースの丈を捲り上げていて見えている生足を絡めてきた。


 細くて長い、まるでアニメのヒロインみたいにシミ一つ見られない白い生足が大輔の足を襲う。


 胸ほどではないにしろ、都の足は物凄く柔らかい。


 テーブル越しに座っている都姫たちには見えないだろう。


「さあ、注文しましょう」


 朝からイチャイチャしているバカップル? ということで周囲から注目を浴びる大輔たちだった。

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