おっぱいを押し付けてくる幼馴染みにキスされた

「大ちゃん、起きてください」


 自分を呼ぶ優しい声が聞こえたため、大輔は重い瞼をゆっくりと開ける。


 少し寝ぼけて目の前にある大きくて柔かそうな物体の正体が分からなかったが、少し考えて都の胸だというのが分かった。


 窓からは夕日が見えているため、かなりの時間昼寝してしまったらしい。


 そういえば膝枕してもらいながら寝たんだっけな、と思いながら、大輔は眠気を取るために目を指で擦って上半身を起こそうとする。


「はぁん……」


 大輔が起こそうとしたら柔らかい胸が顔に当たったためか、都の口から甘い声が漏れた。


「大ちゃんのエッチ……」

「悪いな」


 胸に当たらないようにして身体を起こした大輔は、頬を赤くしている都の隣に座る。


「いえ、大ちゃんなら問題なしです。それに……大ちゃんには触り放題だって、言ったじゃないですか」


 寝る前に感じた柔らかい胸を感じるくらいに近づいてきた都の甘い声が耳元で聞こえた。


 都が積極的になったのは夢ではなく、現実で積極的になったようだ。


「見ていいのも触っていいのも、大ちゃんだけ、ですからね」


 特別感を持たせるかのように甘い囁きを耳元でしてくるのは、明らかに異性として意識させるためだろう。


「都がエロくなっていく」


 いくら異性として意識させたいからといえど、今の都は今までに感じないエロさがある。


 別に毎日料理を作ってくれさえすればエロくなろうといいのだが、誘惑がさらに過激になるかもしれない。


「大ちゃんにだけ、ですから。他の人には、一切しませんよ」


 ムニュウ、と胸を押し付けてくる都は、よほど特別感を持たせたいのだろう。


 押し付けられるのは嫌ではないが、学校でもやられたら男子に嫉妬されるのは間違いない。


 流石に学校で胸を押し付けてくるわけではないだろうけども、ほぼ確実に学校でも以前より近くなるだろう。


「これからは毎日、私のむ、胸を感じさせてあげますね」


 Gカップの胸は有り得ないほどに柔らかく、服越しであっても感触が伝わってくる。


 凄い恥ずかしそうにしているが、それと同時に本気さも感じてしまう。


 えっちいのが苦手なのに積極的にしてくるのだから。


「恥ずかしいなら止めればいいのに」

「やあです」


 頬を真っ赤にしている都は、首を横に降って止める気配がない。


 それどころかさらに押し付けてきて、今日の都は離れることはないだろう。


「大ちゃんが惚れてくれるまで、離したくないです」

「まあ、誘惑していいって言ったのは俺だしな」


 別に嫌ではないし、誘惑していいと言ったのは自分自身なため、大輔が都の誘惑を拒否する権利はない。


「そうですね。惚れさせても離す気はありませんが」


 えへへ、と笑みを浮かべた都は、永遠に一緒にいるつもりなのだろう。


 たまにアニメのヒロインで出てくるヤンデレの部類に入るのかもしれない。


「ありがとうな」

「あ……」


 好意を持たれて嫌ではない大輔は、お礼にぎゅっと都の顔を抑えて自身の胸に埋めさせる。


 女性の胸みたいに柔らかさはないが、好きな人のなら硬くても感じたいと思うだろう。


「大ちゃんの鼓動は早く動かないのですね」


 胸に顔を埋めているからか、都は大輔の鼓動を感じるようだ。


 けれど自分と違ってドキドキとしていないのが不満らしい。


「俺にそんなのを求められてもな」


 鼓動のコントロールを自分自身で出来ないため、不満そうな声を出されてもどうしようもないのだ。


「でも、そんな大ちゃんも、大好きですよ」


 ヒョコっと胸から顔を出してきた都からの甘い言葉が再び炸裂する。


 一般的な男子なら一瞬で恋に落ちてもおかしくないだろうが、現実に興味がない大輔は誘惑されても今は落ちることはない。


「大ちゃん、んちゅ……」


 本当に積極的になった都に頬にキスをされた。


「都?」

「好きな人とキスしたいと思うのは、普通のことです」


 確かにキスは愛情表現の一種とされているし、好きな人相手にしたいと思うのは当然だ。


 ただ、胸を押し付けてくるという性欲に、訴えかけてくる行為をしてくるのに頬にしたのは我慢しているからだろう。


 本当は唇に出来たらいいな、と思っていると考えた方が自然だが、お互いにファーストキスになるのだから無理矢理はしたくないらしい。


「大ちゃんは意識すらしてくれないのですね」

「いきなりは無理だ」


 今まで現実の人間に興味なかったため、胸を押し付けてられようが頬にキスされようが、すぐに意識するなんて無理な話だ。


 でも、思春期になって異性を意識してしまえば、都はこの家に来なくなっていただろう。


「そうみたいですね。だからって止めるつもりはないですけど。んちゅ……」


 再び都に頬にキスされたのだった。

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