2-6
*
――列車のクラクションが、大きく鳴り響いた。
気が付くと、〝彼〟は最後尾の乗務員席に立っていた。外側の扉を開け、星の線路をじっと見つめる。
……あのふたりは「戻れた」だろうか――あのふたりを救うことができただろうか。そんな不安が少しあった。
ここで語った事は、永い時間の中で得た、
もちろん救えなかったことも何度かある。自身の力不足に思えて、〝彼〟はその度に後悔をした。
けれど、あのふたりなら、きっと――――。そんな確信が〝彼〟にはあった。
「……『あくまで〝答え〟を出すのは皆、自分自身』、か」
ふと呟きながら、〝彼〟は自分自身をあざ笑う。……よく言えたものだ。未だ、当の本人が〝答え〟を見つけられていないというのに。
――きっと、あのふたりは〝答え〟を見つけることができただろう。
……そして、自分はいつか〝答え〟を見つけることができるのだろうか。
そんなことを考えながら、〝彼〟は漠然と、あのふたりに話したように、自分はこの列車に残っていなければならない――そんな気がしていたのだった。
――今はまだ、もう少し、此処で〝答え〟を探し続けなければならないのだ。
……今は、まだ。
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