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――列車の汽笛が、大きく鳴り響いた。
気が付くと、〝彼〟は最後尾の先頭に立っていた。……あの双子は、もういない。ため息をついて、また走り始めた列車の運転席へと向かう。
救えたかもしれない、そう、後悔した。けれど、座り込んだあの時呟いたように、無理だったのかもしれない、そうも思えた。……とにかく、あの双子の絆は強すぎたし、自分には力と経験不足だったのだ。
煮え切らない思いを抱え、運転席に到着した〝彼〟は列車の点検を始める。ふと、作業を終え窓の外を見上げると、星座がよく見えた。……普段はあまり見えないのに。特に、その日は双子座が輝いてみえた。
……やはり、まだできることがあって、救えたかもしれない。〝彼〟はまだ迷いながら、双子座を見つめた。そして、視界から消えてしまうまでずっと、少しも目を離さず双子座を見つめ続けたのだった。
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