第7話

「わし、言ってなかったけど息子がいる」

「え?そうなの?」

「実はな」

「何歳?」

「勇者よりは年上」

「へー。人間と魔族の年齢の違いどのくらいかわからねぇけど」

「その息子がさ、わしの後を継ぐって言うんだよ」

「魔王になるって事?」

「そう」

「良かったじゃん。跡継ぎ問題解決して」

「んー…でもなぁ」

「嬉しくねぇの?」

「そりゃぁ嬉しいさ。わしの背中を見ていてくれたんだなって思うし」

「じゃぁいいじゃん」

「でもこの仕事理不尽なことも多いし」

「罵声浴びせられたりとか?」

「そうそう。勇者から心無い言葉言われたり、休みも勇者来たら無くなるしさ」

「24時間大変だもんな」

「そんな魔王の仕事を息子にもやらせたいとは思わないんだよ」

「魔王って定年退職とかあるの?」

「基本ない。いいころ合いを見て継がせていくって感じ」

「へー」

「俺もまだ現役で戦えるし、急いではないんだけど」

「息子は何て?」

「親父もそろそろ自分のために生きてみたらって」

「いい息子」

「本当。パパ泣いちゃう」

「魔王も肩書きが無くなればただの親だもんなぁ」

「つい最近まであんなに小さかったのに、立派なこと言うようになってさぁ」

「泣くなって。ほらハンカチ」

「ありがとう」

「守ってやらなきゃって思ってた存在が、いつの間にか大きく成長していたのにここで気付かされるなんてな」

「そうそう。ぐすっ」

「良かったじゃん」

「だから、今日は子離れ記念日」

「おう。飲もうぜ!息子の成長に乾杯!」

「かんぱい!!」


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