第6話

「次の勇者はいりまーす」

「え?もう?」

「魔王様、準備お願いします。あ、そこのあなた、魔王様のマントに皴があるので直してくれる?」

「今日勇者多いな…。もう三人目ぞ?」

「ここに向かっていて今日中に着きそうなのは後3組ほどいそうですね」

「わし、残業決定じゃん」

「最近、人間の村で病気が流行っているらしくて…。魔王を倒せば収まると思っているみたいですね」

「なにそれぇ、わし全然関係ないじゃん」

「そんなわけで勇者希望者も多いみたいです」

「世の中の情勢に左右されてるわけか。わし…最近思うんだけど、お金があっても自由が無かったら楽しくないと思う」

「そうですか」

「魔王城の中にホテル作って、一回体力回復してもらって時間稼ぐ案はどうだ?」

「だめです」

「じゃぁ、予約制にするとか」

「だめです」

「中ボスをもう少し雇うとか」

「だめです」

「秘書が厳しすぎる…」

「魔王様はお一人しかいなくて大変なのはわかりますが、勇者皆の目標なのですから頑張って下さい」

「目標ねぇ」

「最近仲良くされてるあの勇者のような人がまた現れるかもしれませんよ?」

「あいつは特殊だからなぁ」

「お言葉ですが、最近の魔王様は少々飲みすぎかと」

「うっ」

「先日の魔界健康診断でもお医者様に注意されていましたよね」

「ううっ。腹を見ないでくれ…!!」

「勇者がそのお腹を見たら幻滅しますよ」

「脂肪でガードできるかもしれん」

「いけません。奥様も心配されてます」

「…気を付けます」

「お願いしますね。さぁ、準備はよろしいですね?」

「さっさと終わらせよう」

「それでは、扉オープン!!!勇者の入場です!!」

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