第3話

「今日わしびっくりしたんだけど」

「魔王もびっくりするんだ」

「そりゃぁするよ。」

「で?」

「なんか攻撃されるとき、姫を返せ!って言われた」

「え?魔王ついに誘拐したの?」

「してないしてない。そんな酷いことせんよ」

「誰かと勘違いしてるんじゃね?」

「わし悪いことしてないのに勘違いで凄い罵られてさ~、もうほんとこの仕事やだわぁ」

「魔王だったら何言ってもいいって思われてるのかねぇ」

「よくない。そういうの。わしも身に覚えが無くて部下に確認しちゃった。そんな子居た?って」

「そもそも魔王城から出ないのに姫に会えるわけないよな」

「ほんとそれ。わし24時間勤務ぞ?城から離れたら大変。来れてここの居酒屋まで」

「あれ?なんか魔王の爪綺麗じゃない?」

「あ。気づいてくれた?実は、奥さんにネイルしてもらった」

「へー!器用!」

「透明だったら男性でもおかしくないわよって言ってくれてさ」

「魔王嫁優しいな」

「わしが、皆に怖がられるって悩んでたらやってくれたんだよ」

「爪見てにやにやすんなよ~。はぁ、魔王様の惚気で俺お腹いっぱい」

「勇者は結婚しないのか?」

「一応、魔王倒したら姫と結婚する約束してたんだけど、無理そうだな」

「えぇ、そんな約束してたの?なんかすまん…わしお前の恋路邪魔したわ」

「いいよ。なんか王様が勝手に言ってただけだし」

「でも姫って可愛いんだろ?」

「まぁ。可愛かったけど俺と性格は合わなそう」

「勇者、飲んだくれだもんな」

「おい。俺にもいいとこあるから」

「いいぞ。奥さんは。こうやって支えてくれるからな。何なら部下の魔族紹介しようか?」

「まだ独身でいいかな。楽しんでるし」

「そうか。野暮だったな」

「今度奥さんも連れてきてよ」

「奥さん酒凄い強いけどいいのか?」

「流石魔王の嫁になるだけある」

「あと、すっごく可愛いから惚れるなよ」

「かぁぁぁ!!これだから魔王様はよ!!今誰か勇者来い!!!」

「ははっ。マスター、おかわり」

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