第2話
「よくここまで来たな、勇者よ。お前の力、見せてみよ!!!」
「うん。どうした?酒まわっちゃった?」
「いや、この言葉さ、勇者が来たら絶対言わないといけないんだけど、なんかダサくない?」
「んー、どうだろ。俺の時もそれだったよな」
「そうそう。もう10年くらいこれなんだけどさ。これ言ってるとき勇者たち待たせる事になるじゃん?皆、絶対言い終わるの待ってくれるし、なんか申し訳ないかなって」
「いいじゃん。俺それ好きだよ」
「…そう?」
「なんか、捻りつぶしてやる!とか言わないあたりが魔王らしいなって思う」
「まぁ、できれば戦いとかしたくないしね、わし。平和主義だから」
「ただのねぎらいの言葉と、力の発表の場所提供してるだけだもんな」
「ふふ」
「どうした?」
「わし、お前とあった時の事思い出した」
「えー、やめろよ。恥ずかしい」
「わしびっくりしたよ。勇者って結構皆レベル80とかの状態で来るのに、お前レベル30で来るんだもん。仲間一人もいないし。ふふっ」
「いや、俺にも居たよ仲間!でもそりが合わなくてさ~。だって皆無駄にやる気満々だったし。俺スライム倒すのも面倒で全部避けてきたからさ」
「よく各地のボス倒せたな」
「仲間が優秀で」
「なるほど」
「なんか急に自分の暗い過去の話始めたり、裏切るやつとかもいてめんどくて。魔王城の前で解散したんだよね」
「勇気ある決断すぎ」
「先に行くって言うもんだから追いかけたら皆途中で負けてて、俺だけ着いちゃってさ~。魔王第一印象怖すぎて死んだと思ったわ」
「確かにわし第一印象怖いってよく言われる」
「人間は特に見た目で判断するもんな」
「そんな人間が一番自分の見た目に劣等感を抱いてるのかもしれんな」
「おっ、名言出ました。魔王語録」
「やめろ、恥ずかしい」
「記念にもう一杯。何飲む?」
「カシスオレンジで」
「女の子かよ」
「わし、あのカシスオレンジの色が綺麗で好きなんだよ」
「魔王って夕焼け見て泣いちゃうタイプ?」
「勇者に酷いこと言われたときは夕日見て泣いたこともあったな。ぐすっ」
「わー!!泣くなって!酷い勇者も居たもんだ!マスター、カシスオレンジとジントニック急いで追加~!!」
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