第647話 不機嫌


 肩の上の毛羽毛現にきちんと挨拶されたので、ここは俺からもちゃんと挨拶しないと。


「古賀 一郎です。

 宜しくお願いします。」


うわぁ、何故か緊張して最も短い自己紹介をしてしまった。


「カッパの璃水っす!」

「アマビエです。」


2人もさらに短い自己紹介だった。


前々から気になっていたけど、妖怪同士ってあまり仲は良くないのかな?

今度誰かに聞いてみよう。


ん?

何か微妙な空気感になってしまっている。


璃水が呆れた目をしている。


璃水の視線の先には‥


明日香がいた。


ちょっ、ここでもツンデレですか?


皆が自己紹介したのに無視を続ける明日香に呆れてしまう。


とりあえず明日香に近づいて肘で突っついてみる。


「なによ。」


え?

今回はツンデレってよりは不機嫌のようだ。


どういう事だ??

何か怒らせるような事をしたか??


謎である。


俺が考える間も明日香の機嫌は悪くなる。


これはマズイ状況だ。


こうなったら‥


『セオリもん、助けて!』


困った時のセオリもんだ。


『誰がセオリもんよ!

 私はあんなに丸くないし、青くもないよ!!

 もう、そんな事言うなら助けないよ!!』


やばい、ちょっとふざけ過ぎたみたいだ。


『ごめんなさい。』


素直に謝っておく。


『で、呼び出したのは明日香の件よね?

 もうめんどくさい女ね。

 何で不機嫌かって事よね?

 要は自分の事をイチロー君に紹介して欲しいのよ。

 もう、女心がわからない人ね‥』


セオリに呆れられしまう。


なるほど‥


女心は難しいと改めて思うのであった。

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