第639話 実験19


勝負は一瞬でついたようだ。


明日香は動いたかと思ったら刀を振って何かを床に落とすと刀を仕込み杖にしまう。


何を落としたのか気になったので近づいて観察するとそれは髪の毛であった。


まさか!?


俺はすぐに璃水を確認するとてっぺんの髪の毛がなくなっている。


それはまるでよく知るカッパのようだった。


斬られた璃水も気がついていないようだ。


俺は笑うのを我慢して璃水に髪の毛がない事を教えようかと思っているとアマビエが先に動いてしまう。


アマビエは璃水に近づくと無言で手鏡を渡す。


意味がわからない璃水が渋々手鏡を受け取って覗き込む。


璃水は手鏡を見て目を見開く。


咄嗟に璃水が悲鳴をあげると予測して身構えるが、実際は静寂が訪れていた。


璃水は手鏡を一度おろして顔をふる。


きっと現実が受けいられないのであろう。


少し落ち着いたのか璃水は震える手で手鏡をゆっくり覗き込む。


そして‥


「ギャーーーーーーー!

 か、か、髪が‥

 髪がない!!!

 なんじゃこれ!!!!」


璃水の魂の叫びが響き渡る。

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