第638話 実験18


「それでわたしが呼び出されたの?」


俺によって選ばれた妖怪は眉毛をピクピクとさせている。

冷静さを装ってはいるがアレはかなり怒っていそうだ。


「ソイツを殺ればいいの?」


怒りのオーラを放出しながら煽ってくる。


「ほら、璃水からも何か言えよ。」


このままでは埒があかないので璃水に交渉を委ねる。


「え?私っすか?

 いやいやいやいや無理っす。

 何でこの妖怪を呼び出すかなぁ‥

 この妖怪はすぐに怒るからダメっす。

 NGっす。」


璃水が手でバッテンをつくって目の前の妖怪を全否定する。


「はぁ?

 誰がすぐに怒るって!!

 私はそんな短気じゃないわ!!」


もうブチギレである。


「そ、それが怒ってるんす。

 ほら、すぐに怒る。

 よくそれで妖怪の総大将とか名乗れましたね?

 恥ずかしくないですか?」


璃水がさらに否定的な事を言ってしまう。


「あっ、もう何も言わなくていいわ。

 あ〜あ〜まさかこの私がカッパに馬鹿にされるとは‥

 手加減しないからね。」


完全にキレてしまった明日香は仕込み杖に手をのせる。

あの構えは完全に殺る気だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る