第636話 特訓16


「楽勝っす!」


璃水がひたいの汗を拭いながら爽やかな笑顔で向かってくる。


(いや、楽勝ではなかったよね?)と思ったが、抱きついてきて喜ぶ璃水を見て言うのをやめたのであった。


「愛の力っす!」


璃水が笑顔で顔を俺のお腹に擦り付けてくる。これが璃水の愛情表現だ。


まるでペットのようで可愛い。


しかし、そんな楽しい時間は長くは続かなかった。


「診察します。」


アマビエが感情を殺した声を発する。


「ちょっ、もう少しだけ甘えた‥」


璃水が延長を訴えたが聞き入れてもらえず、アマビエによって連れて行かれる。


璃水の診察の間、俺は何も考えずにのんびりしていた。


あ〜平和だ。


こんな時間が続けばいいのに‥


もちろんそんな事はない。


ドカドカと足音を鳴らして近づく者が‥


「ちょっ、聞いて下さいっす!

 あれだけ苦労したのにチョビっとしか成長してませんでしたっす!」


璃水が不満をぶちまけるのであった。

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