第630話 実験10


「どうして私が呼び出されたのか説明して下さい。」


玖々莉は何故か俺にご立腹であった。


俺が転移したわけではないのに‥


正座までさせられている。


さすがに不憫に思ったか、アマビエが助け舟をだしてくれた。


「まぁ、そう怒るなよ。

 玖々莉には少し実験を手伝ってもらいたくて呼び出したのさ。」


アマビエは玖々莉の事も呼び捨てにしていた。


「実験ですか?」


玖々莉がかなり嫌そうな顔をしている。


「そう、実験だ。

 まぁ、たいした実験じゃないからそんなに身構えなくても大丈夫だから。」


アマビエが小さい子を諭すように優しく論する。


「実験はそこの璃水と少し戦って欲しいんだ。」


アマビエに説明されて玖々莉がこの場に来て初めて璃水の事を認識した。


「璃水とですか?」


玖々莉のテンションが明らかに下がってしまった。


それに気がついたアマビエが問いかける。


「不満かね?」


すると玖々莉が半笑いで答える。


「え?

 まぁ、不満と言えば不満ですね。

 久しぶりに戦えると思ったら相手がカッパですよ。

 私、ほぼ大妖怪に近いと言われている泥田坊でから。

 カッパとか雑魚と戦うのは‥

 勝つとわかっているのは退屈というか‥」


玖々莉は璃水の事をかなり馬鹿にしていた。


最初は笑顔だった璃水から笑みが消え、見たこともないような殺気を出すのであった。

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