第517話 拒否


「あっ、信じてないでしょ?」


実は有難い妖怪だと主張する八重花であった。


「私は日本神話に登場した伝説の生物だよ。

 もう妖怪を超越した神霊なんだから!

 ここ数十年で騒がれてるアマビエとは比べ物にならないから!」


語尾が変わるほど強い言葉で力説する八重花。


「もちろん八岐大蛇が凄いのは知ってるよ。

 でも、今回の妊娠については何も出来ないよね?

 ってか、自分自身が妊娠してるから自らは診れないよね?」


俺の問いに小さく頷くのであった。


「話を戻すけど、アマビエなら何とかなるかもって事だよね?」


俺は改めてヨウヒさんに尋ねる。


「そういうこと。

 まぁ、ダメ元で呼び出してみたら?」


ヨウヒさんの話を聞いてアマビエを呼び出す事を決意する。


八重花がまだ絡んできたが、今は無視することにした。


「タブレット、オープン」


妖怪召喚用のタブレットを呼び出す。


「なにカッコつけてるの?

 最近そんな風に呼び出してなかったよね?

 心境の変化でもあったの?」


しれっとカッコつけたのに改めて明日香に突っ込まれると、急に恥ずかしくなってしまうのであった。


とりあえずスルーしてタブレットを操作する。


「アマビエ、アマビエ‥。

 おっ、あった。

 アマビエをポチッとな。」


一覧からアマビエを見つけたので指で文字をタッチする。


ブブー!


召喚用タブレットからエラー音が響く。


ん?

何か間違ったかな?


ポイントは既に無限になってるし‥。


もう一度押してみよう。


「ポチッとな。」


ブブー!


やっぱりエラーになる。


あっ、ヘルプ機能があるからエラー内容を確認する。


「なになに‥

 え?

 相手に拒否されたの?」


想定外の出来事に驚くのであった。

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