第456話 あと一声


アリシアの魂の叫びを聞いて胸が熱くなる。


まだ幼いのによくもまぁ、溜め込んだものだと‥。


でも、あの言葉を聞けてなかった。


どうせならそこまで言わせたいと思ってしまう。


『ドSですね。』


セオリに突っ込まれてしまうが無視した。


「それで終わり?」


俺の言葉にアリシアが考え込む。


そして一番聴きたかった言葉を発する。


「助けて欲しい。」


アリシアは涙ながらに頭を下げた。


別に頭は下げなくて良かったけど‥。


『鬼ですね〜。

 こんな小さな子に頭を下げさせるなんて。

 この鬼畜。』


セオリに揶揄われる。


『いや、そこまでするつもりはなかってよ。本当だからね!』


名誉のため、無視出来なかったから反論はしておく。


それにしても、やっとアリシアの本心が聴けて良かった。


きっと今まで誰にも頼らずに生きてきたのだと思う。

こんな幼い子が誰にも頼らずに自ら解決してきてのだろう。


思わず目頭が熱くなる。


せっかく頼られたのだ、ここは格好をつけさせてもらおう。


「全部は叶えられないけど、俺が出来ることは何でもやるよ。

 だから俺に任せてくれ!」


俺も全て叶うなどと嘘は言わずに、本心を伝えるのであった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る