第453話 アリシア7


我の大声に少しだけ驚いた顔をした男が口を開く。


「俺の愛する妻の力だよ。

 まぁ、この場所については気にしないでくれ。」


愛する妻の力???

お前の力ではないのか??

では、何故その妻が出て来ない??


納得がいかない事ばかりだ。


それより一番納得がいかないのがこの場所を気にするなだと!?


気にするわ!!


もう2度と目にしないと思った故郷だぞ!!


しかも高ランクモンスターの巣窟であるこの場所にいるのだぞ!!


駄目だ!

思考がついていかぬ。


しかしここで泣き言を言っても仕方がない。


ここは我が冷静な所をみせぬとな‥。


声を何とか絞り出す。


「私をこんな場所に連れてきて、何がしたい?

 よもや王都の見えるこの場所で辱めるつもりか?」


こんな貧相な身体を求めるとは思えんが、弱気を見せるわけにはいかぬので虚勢を張ってみせるのであった。

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