第442話 闇45
俺との約束をとりとめたヴァンパイヤは観客に施した術を解いて、何故か数人の観客とハイタッチをして喜んでいた。
吸わせろ!コールを熱心にしていたメンバー達だった。立場は違えで応援したくなったようだ。
いや、ぜんぜん感動しないから!
何かその数名が俺を見てニヤリとするのがムカついてくる。
とにかく、この糞みたいなオークションが早く終わる事を祈るよ。
それからいくつかのオークションが終わり、やっとこさ最後になる。
「それでは、今回のオークションの最後になります。」
黒いスーツの男が大声が叫ぶと会場のボルテージは最高潮に達するのであった。
興奮冷めやらぬ中、ステージ中央に小さな女の子がトコトコと歩いていく。
ん?
会場の人達がキョトンとなる。
さっきまでザワつきが嘘のように静かになる。
スーツの男が何かを言おうとするが、それを小さな女の子が手で制する。
そして女の子が叫ぶ。
「我はスターウ帝国最後の皇帝である、アリシアである。
国を滅ぼされたが、部下の手によって山を越え、海を越え、この大陸にやってきた。
命からがら逃げたのでな、路銀が尽きて仕方なく奴隷落ちした。
出来れば我が国を滅ぼした輩に復讐していが、それは我を買い取った主人と相談じゃ。
我はこの小さき身体ゆえ、本番はむりじゃが房中術には自身があるぞ。
ちなみに我を買うと、もれなく部下もついてくるぞ。」
会場が静まりかえる。
うん、ツッコミ何処が多くてどこから手をつけていいのやら。
とにかく厄介な案件なのは理解した。
もう巻き込まれるのは嫌だ。
俺は目を閉じてオークションが終わるのを待つ事にする。
目を閉じると俺に抱きついて甘える緋莉の声や腕に噛みついてチョロチョロと血を吸う音が聞こえてくる。
いや、さっきも飲んだよね!!
とにかく今回は絶対に買わない!
事が終わるのを待つ事にしたのだが‥。
静まりかえった会場では何も進んでなかったのであった。
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