第439話 お詫び


目の前に顔を青くしたヴァンパイヤと吸血鬼がいる。


しこたま吐き出したのか顔がゲッソリしているように見えた。


吐き出した物はセオリが処分したのか消えていたが口元には何かが付いていて少し酸っぱい匂いがする。


『ねぇ、セオリさん。

 どうするのこの後?

 さすがにこの2人が可愛そうになってきたよ。』


2人を見ていたたまれない気持ちになった。


『だって、イチロー君の血を飲もうとしたんだよ!

 これだけの事をされる理由があるんだけど‥。

 まぁ、少しだけやり過ぎたかもだけど。』


これが少しだけなの?

かなり可愛そうだけど‥。


仕方がない、後始末をつけるか。


「ほら、口元を拭いたら血を吸っていいよ。

 ただし、お手柔らかにね。

 緋莉も邪魔しないように。」


ヴァンパイヤと吸血鬼に首筋を差し出すようにして2人を誘う。


文句を言いそうになった緋莉は頭を撫でて機嫌をとることにする。


俺の言葉にヴァンパイヤと吸血鬼の死んだ目に生気がやどる。


口元を拭けという言葉で血が出るのでは?と思うぐらいじぶんの服の袖で擦りまくる。


そして2人が飛びかかってくるのであった。


「2人とも、ほどほどにね。」


俺の言葉は2人には届いていなかった。

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