第387話 闇31


決して破る事の出来ない結界。


それがネックで誰も手をあげない。


苦し紛れにスーツの男がダメなアピールをする。


「け、結界が破れなくても観賞用に買いませんか?」


いや、それでは買わないだろ‥。


スーツの男が俺に視線をおくる。


目が助けてと訴えかけてくる。


うーん、困ったな。

これ以上は本当にいらないんだけどな‥。


一応念のためセオリに確認する。


『あの結界破れる?』


『もちのロンです。』


即答であった。


でもなぁ‥。


俺が躊躇していると抱きついている緋莉が一言。


「助けてあげて。」


うん、助ける!


じゃなくて‥しまった!!!

オークションの奴らが変なのばっかりだから大事な事を忘れていた。


人助けをするのは当たり前じゃん!


道徳で習ったじゃん。


いつのまにか嫁にする事とかでアタマがいっぱいになってたよ。


そもそも人助けをするのに理由は必要なかった。

困っている人がいたら助けるのが当たり前だった。


俺は大事な事を忘れていて恥ずかしくなった。


だったら答えは簡単だ。


俺は気持ちを新たに元気よく手を挙げるのであった。

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