第386話 闇30
休憩が終わったのか、続々と客達が戻ってくる。
スーツの男が壇上にあがる寸前にスタンは戻ってきた。
「それでは、エントリーNo.8です。」
スーツの男が喋りだす。
「今回の商品は訳ありです!」
いや、訳ありしか売ってないよね?
「まずはこの娘の美しさをご覧下さい!」
スーツの男が合図をすると男達によって巨大な氷の塊のような物が運ばれてくる。
その塊の中には水色の髪の女性が入っていた。
女性はかなり美人であるがその事よりも表情が気になる。
とても怯えた表情をしていた。
「この娘は世にも珍しい水精霊と人間のハーフです。」
スーツの男の言葉に会場がざわつく。
周りの反応を見る限り、かなり貴重な存在のようだ。
「ご覧の通り、かなりの美人ですが一つだけ問題があります。」
客達がスーツの男に集中する。
「自分の身を守る為に氷の結界を張ったようで‥。
我々も凄腕の魔術師に依頼しましたが結界を破ることは出来ませんでした。」
スーツの男の言葉に会場のテンションが下がっていく。
「そんなに水精霊の結界は破れないのか?」
気になったのでスタンに聞いてみる。
「無理だな。
水精霊の結界を破れる者はいない。」
スタンが断言する。
その後、水精霊の結界は有名だったようでオークションが始まると手を挙げる者は現れなかった。
焦ったスーツの男の視線が俺を向けられのであった。
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