第372話 闇16


 緋莉の情熱的なキスに理性が飛びそうになるが周りの目線が気になるのでここは自重する。


「緋莉、久しぶり。」


気の利いた言葉が思いつかなかったので普通の挨拶になってしまう。


「抱っこして。」


!?

緋莉がトンデモない事を言ってくる。


緋莉どうした?

何か幼児化してない?


「イチロー、その女性はどこから現れた?」


真横のスタンが騒ぎ出す。


「イチロー様!

 離れてください!!」


ディアーナも突然現れた緋莉に警戒心を示す。


スタンとディアーナが騒ぎ出した事で緋莉の表情が曇る。


「邪魔。」


機嫌の悪くなった緋莉がスタンとディアーナに圧をかけたようだ。


スタンもディアーナも動く事も喋る事も出来ないようで、その場で硬直している。


あっ、これ以上はさすがにヤバイ。


俺は緋莉を抱きしめて頭を撫でて機嫌をとりだす。


抱きしめられたのと撫でられた事で機嫌が良くなったのかスタン達への圧を解いてくれる。


圧を解かれたスタン達は肩で息をしている。


「誰なんだ?」

「どなたでしょうか?」


息を整えたスタン達が俺に掴みかかってくる。


圧がかなり強かったのか、かなりキレ気味だった。

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