第362話 闇6


ステージ上では、男が血のついたナイフを舐めている。


あまりに異様な光景に会場は静かになる。


「それでは本人より強い希望で自己紹介がしたいそうです。」


スーツの男が何もなかったかのようにオークションを続ける。

痩せた男が何かをアピールしたいようで口を開き出す。


「ご覧のとおり、私はこの獲物で切り刻むので趣味です。

 コレはモンスターですが、私の専門は人間です。

 しかも小さい子を切り刻むのが大好きです。

 あっ、出来れば女の子がいいです。

 ちなみに今まで切り刻んだ人間の数は‥。

 良く覚えていないのですが‥。

 100は軽く超えるかと‥。」


最後に男がニヤリと笑う。


「ここでは、犯罪者を売るのか?」


ディアーナに少し強い口調で質問する。


「あの男の妄想かも知れませんし‥。

 そもそもあの男は犯罪者ではありません。」


ディアーナが少し悔しそうな表情で淡々と伝えてくる。


狂っている。

こんなヤバいヤツを売り出そうとするこのオークションに嫌悪感を覚えるのであった。

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