第361話 闇5


「そろそろ始まるようです。」


ディアーナに言われると中央のステージに黒いスーツの男が現れ、話し始める。


「長らくお待たせしました。

 今回は目玉商品が目白押しですので楽しみにして下さいね。

 それではオークションを始めます。」


男の通販番組のような挨拶からオークションが開催させた。


「それでは、エントリーNo.1です。」


男の言葉からステージのカーテンが開き男が入ってくる。


かなり期待していたのに入ってきたのは、一般的な洋服を着た、少し痩せた男だった。


想像と違って正直ガッカリしていると、横にいたスタンが一瞬歯軋りをしたように感じる。


慌ててスタンの顔を見るが特に変わった様子はなかったのだった。


会場では普通過ぎる男だったことから不満の声が出てくる。


するとステージ上の男が手で合図を送るとステージの外から鎖をつけられた筋肉質のゴリラのようなモンスターが連れられてくる。


どうやらその男と戦わせるようだ。


ゴリラは鎖を外そうとかなり暴れているが丈夫なのか外れる様子はなかった。


鎖が外れない事にイライラしたのか何度も床を振り鳴らしている。

かなり凶暴な印象をもった。


ゴリラはすぐ近くに男がいる事に気がつき、いきなり男に殴りかかるのであった。


男は何も武器を持っていなかってので、会場からは女性の悲鳴が響いた。


俺も男が殴られると思っていてが、突然ゴリラが動きを止める。


何が起こっているのかわからないでいると、突然ゴリラの身体から血が噴き出す。

それも1箇所や2箇所ではない。

数えきれないほどの傷であった。


あまりの光景に先程とは比べ物にならない悲鳴があがり、会場が騒ぎになり始めると男がニヤリと笑うとメスのような小さなナイフを舐め始めるのであった。

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