第359話 闇3


 俺はこの世界に根付いた奴隷制度の奥の深さに一筋縄ではいかないと感じていた。

だからこそ自分の作る国には必要がないと思っている。


俺が考え込んでいるとスタンから話し掛けられる。


「そういえば、イチローは持ち合わせは多いのか?」


ん?

持ち合わせってお金の事だよね?


「ウーン、一応かなりの額を持ってるかな。」


以前スライム退治した時とスタンピードの時にかなり儲けていた。


「それは良かった。」


スタンがニッコリ笑う。


あっ、何か嫌な予感がする。


「何が良かったのかな?」


思わず質問するが何故かスタンからは返事はなかった。


「ちなみに私は全くお金を持ってきていないので宜しく。」


お金を持っていない事を何故か誇らしげなスタンであった。


その後時間になったので闇オークションに向かう事になった。


俺たちがその場所に到着すると開催時刻のギリギリだったようで慌てる男に顔を覆うマスクを手渡される。


不気味なマスクで付けるのに抵抗があったがスタンがあっさり付けたので俺を付ける事にした。


闇オークションの入り口は人気の食堂の裏手にあって、長い階段を降りるとかなり広い空間に出る。


会場は間接照明なのか少し薄暗い感じで中央に大きなステージが用意されていた。


会場には四人掛けのソファーが沢山用意されていて、すでに他の客は全員座っている。


俺たちは一番最後だったので慌てて空いているソファーに座るのであった。

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