第354話 案内役
コンスタンティンの目覚めは早い。
まだ日が昇る前から起きて、日課の運動を行う。
ランニングに始まり、素振り、魔法訓練を行う。
コンスタンティンはこれを毎日欠かさず行なっている。
この王子の頑張りは城の者であれば全員知っているので、コンスタンティンの人気は高い。
また脳筋ではなく頭も良く、性格も大人しく優しい完璧な人間であった。
「よし、今日のノルマは終わり。」
修練場には誰もいなかったので、少し大きめの独り言となっていた。
大量に汗をかいたので、それを拭こうとタオルに手を伸ばした時にそれは起きたのだった。
「お疲れ様です。」
女性の声とともにタオルを手渡されたのだ。
コンスタンティンは冒険者ではなかったが近衛騎士とも渡り合える戦闘力も持っている相当な実力者だ。
その実力者が気配をまったく感じる事なくこんな距離に詰め寄られるとは‥。
コンスタンティンは大量の汗とは別の冷たい汗をかきはじめた‥。
鼓動が速くなる。
必死に冷静になろうとするがどうしても出来なかった。
もし目の前の者が暗殺者であったら‥。
コンスタンティンはどうしても悪い想像をしてしまった。
「失礼な!誰が暗殺者ですか!!」
目の前の女性が怒ったようだ。
!?
心をよまれた!!
コンスタンティンは驚愕して‥
そして冷静になっていた。
「イ、イチロー様の関係者の方ですね?」
冷静になったコンスタンティンは持ち前の頭脳を使って相手を特定する。
「正解!よく分かったね。
さすが人気の王子様。
もし斬りかかってきたら骨の一本は折るつもりだったよ。」
目の前の女性がさらりと怖い事をいう。
冗談かと思ったが目が笑ってなかったので本心だと悟る。
これ以上心の中をよまれるのはまずいと思いすぐに質問する。
「イチロー様の関係者の方が何の用でしょうか?」
すると目の前の女性が笑みをこぼす。
「ふふ、手っ取り早くて助かる。
で、用件だけど‥
実はイチローが街をブラブラするから、その案内を頼みたいのよ。」
ん?
聞き間違いかな‥
ブラブラするから案内してと聞こえたような‥
「うん、それで間違ってないよ。」
また心をよまれる。
コンスタンティンは困惑する。
一応自分は第一王子であるのに自ら案内役をさせられるとは‥。
「誰でも良かったけど‥
貴方もイチローと勉強した方がいいと思って‥。
一応、今後もお世話になるから‥
そのお礼をかねて。」
女性のNOとは言わせない圧が高まるのであった。
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