第348話 着替え


ゾンが子供達を連れて宿屋から出て行ってしまった。

俺はイチローと二人っきりになっている。


まさかいきなり二人っきりになるとは‥。

気がついたらイチローの顔を見てしまう。


視線が重なると目を逸らす紫花。


そのやり取りが数回続いた後、紫花が勇気を出す。


「まぁ、こうなったのだから仕方がない。二人で街をブラブラしようぜ。」


自然な感じで言えた。

俺、偉い!


「たしかにそうだね。じゃあブラブラしようか?」 


イチローも乗り気なようだ。


「あっ、俺ちょっと用事があるから待っててくれ。」


俺はイチローにそう言うと、そそくさと部屋に戻るのであった。


部屋に戻った紫花は迷っていた。


「う〜ん、どうしよう‥。俺には似合わないかな‥。」


ベッドの上には先日買った服が置いてあった。


「よし、女は度胸だ!」


紫花は洋服を手に取った。



それから数分後‥


「おっ、待たせたな!」


イチローの前に現れたのは、白い膝丈のワンピースを着た紫花であった。


イチローが目を見開いて驚いていた。


「お、オカシイか?

 に、似合わないなら着替えてくるけど‥。」


イチローが何も言ってくれないから不安になる紫花。


「凄い似合ってるよ‥。

 キレイだよ‥。」


思わず紫花の顔が真っ赤になってしまう。



このやり取りを覗き見していた者が複数いた。



「エモい!エモすぎる!!」

セオリが悶絶していた。


「お前は乙女か!!」

咲夜が相手に聞こえないが突っ込んでいた。


瞳と鏡月は顔を赤くしていた。


「コレは永久保存ですね。

 コレで飯が三杯いけます!!」

シノブが訳がわからない事を言っていたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る