第347話 思惑


「どういうつもり?」


イブキが怒り気味にセオリを攻め立てる。


「う〜ん、九曜と八重花は予定通りだったけど、まさかゾンまでイチロー君の護衛から離れるとは‥。いやいや、想定外だったよ。」


口調では困った感じを出しているが、表情は笑顔だったので絶対に困ってない事はわかっていた。


「そう怒るでない。」


イザナミはイブキとセオリの仲介役になる事が多い。


「お兄ちゃんに何かあったらどうするの?」


イブキのお兄ちゃん愛が止まらない。


「紫花が抜けたら私が行くからね。もう止めても無駄だから!」


イブキがセオリに宣言する。


その様子を見ていたイザナミが口を開く。


「で、本音はどうなのじゃ?お主が何も考えてないとは思わんが‥。」


イザナミがセオリの目を真剣に見据える。


「う〜ん、実は特には考えてないんだよね。イチロー君にはこの世界の事を知って欲しいのは本当だし‥。ハーフリングを拾ったのは想定内だっけど、ゾンに預けたのは予定外。

まぁ、この際だし紫花にも妊娠してもらおうかな。」


セオリがニヤリと笑う。


「ゾンが抜けたらわかってるよね?」


イブキがセオリを睨みつける。


「気持ちはわかるけど‥。イブキはまだ作業終わってないよね?それが終わるまでは行かせられないよ。」


セオリに痛いところをつかれてイブキが苦い顔をしている。


「でも本当に妊娠したらどうするのじゃ?ワシらはまだ行けそうにないし‥。きっと咲夜達も気がついていると思うぞ。」


イザナミの話を聞いてセオリは考え込んでしまうのであった。

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