第322話 逃げて!


 食堂の中に入るもカウンターとテーブル席のある、ごく普通のお店になっていた。


お昼を少し過ぎていたが、お店が流行っているのか座席は殆ど埋まっていた。


「お客さん!ここの席を準備するからもう少し待っといてくれ!」


40台ぐらいの恰幅の良い人間の女性の大声が響く。


お店に入る前から匂っていたお肉の香りでかなりお腹が空いていたので、当然待つことにした。


地球のファミレスであったら待合用の椅子などがあるが、異世界にはそういう物はないので邪魔にならないように端に寄ってあた。


全員ずっと嗅いでいたお肉の匂いにかなりまいっていると、外から5人ほどの人相の悪い冒険者風の男達が店に入ってきた。


あっ、何か嫌な予感がする。


男達に気がついて、片付け中の女性が声をかける。


「すまないね!今は満席で、そこの人達の次に呼ぶから待っといてくれ!」 


女性の声を聞いて男達の視線が俺たちに向く。


いい人達なら良いけど‥。


「おい!そこの貧相な男より俺たちと飯食わないか?これでもこの街では名の知れた冒険者なんだぞ!奢ってやるぜ!」


俺の事を鼻で笑いながら下品な笑いをする男達。


すると俺に対する言葉を聞いて彼女達の雰囲気が変わる。


物凄い殺気が膨れ上がっていった。


マズイな普段冷静なゾンまで怒っているのがわかるよ‥。


名の知れた冒険者なら彼女達の殺気に気がつくよね?


あ〜笑ってないで逃げて!


その後も俺に対する悪口を口にする男達を心配する俺であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る