第323話 良くある事
冒険者達の俺に対する暴言は止まらなかった。最初は腹が立ったが、それよりも膨れ上がっていく彼女らの殺気の事が気になって仕方がなかった。
「もういい‥。黙れよお前ら。」
紫花がブチ切れたのか、低い声で男達に口をひらいた。
男達も紫花の迫力に圧倒されて、口を閉じる。
「もう行こぜ。」
男達の1人がそう言い出すとトコトコとお店から出て行く。
良かった‥このまま平和に終われそうだ。
そう思っていた矢先、1人の男が何を思ったのか隠し持っていた短刀を抜くと俺に斬りかかろうとした。
一瞬の事で油断してしまった。
男の短刀が動けずにいる俺を切ろうとした瞬間、紫花の剣が男の腕を切り落とした。
他の男達も剣を抜こうとするが八重花の蛇が全員を丸呑みする。
店の中には骨や装備品が砕ける音が響き渡る。
蛇には歯がないはずだけど‥‥不思議に思いつつ、その光景を眺める事しか出来なかった。
最後に紫花が切り落とした腕を1匹の蛇が丸呑みすると、男達の形跡がなくなってしまう。
紫花が剣を抜いた時から静かだった客達もその後は何事もなかったようにガヤガヤと騒ぎ出す。
ゾンに後から聞いた話だと、冒険者同士のイザコザは良くある事らしい。
やっぱり異世界は怖いと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます