第310話 忠告3


[獣人国]


セオリが姿を表すと、いきなり獣王が殴りかかってきた。


獣王の渾身の一撃をセオリは片手で受け止めていた。


「さすが獣王。まさか触れられるとは思いませんでした。」


セオリが感心した口調で話しかける。


「誰だお前?」


獣王が歯をギリギリときしませる。


「イチローの妻、セオリと申します。」


セオリが軽く会釈する。


「あと、私に触れて良いのはイチローだけですので‥。」


セオリが獣王に手をかざすと目に目えない力でぶっ飛ばすのであった。


飛ばされた獣王は壁に激突して壁を壊してしまう。


その後、立ち上がった獣王は反撃しようとするが周りの獣人達に取り押さえられてしまう。


「おい、離せ!」


獣王が暴れるが獣人達も近衛兵だけあって、拘束が解かれることはなかった。


「獣王様、落ち着いて下さい。」


狐の獣人が感情の無い声で話し掛けてくる。


「イチロー様の関係です。きっと人間ではないと思います。この気配は‥‥神気に近いですね‥。」


狐の獣人が細い目を大きく見開いて驚く。


セオリは狐の獣人を睨みつけると話を続けた。


「今日は忠告にきたよ。今度イチローが旅をするからその邪魔をしないでね。変に接触してもダメだからね。」


セオリがニッコリ笑う。


「邪魔したらどうなる?」


獣王が笑いながら問いかけてくる。


「獣人国を滅ぼすから‥。草木一本存在しない土地にしてあげる。あっ、他国にいる獣人も対象よ。貴方の妹さんもね‥。」


獣王が妹というキーワードを聞いて殺気を強める。


「ちなみにイチローを探ってた精鋭部隊は各々の家にお帰り頂いてるからね。」


「忠告したからね。では」


そう言うとセオリは消えてしまった。


後で精鋭部隊の家に向かうと各々の玄関に生首が置いてあったらしい。

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