第309話 忠告2
「それでは失礼します。」
セオリが今度こそ姿を消したが、教皇達に言葉はなかった。
長い沈黙が続いたが、教皇が何とか言葉を絞り出した。
「イチロー様やその家族に絶対に手を出すな。これは命令だ!部下が勝手にやったなどにならないように末端まで情報を共有するように。仮に約束をやぶった場合は‥その者達の一族全てを処分する。いいか、これは絶対だぞ!」
普段の教皇からは聞いた事がないような低い声だった。
[エルフ国]
エルフの王達が打ち合わせをしている時に、いきなりその女は現れた。
ちなみに毎回打ち合わせ中に現れるのは、何度も説明するのが面倒だからとのこと。
気配感知が得意なエルフであっても、セオリの出現はまったく気が付かなかった。
只者ではないと全員が察知していた。
「皆さん、こんにちは。私はイチローの妻のセオリと言います。以後お見知りおきを。あっ面倒なので先に言いますが‥私、神ですので下手な事はしないで下さいね。」
イチローの関係者と聞いて、一応警戒心をといた一同。
「法皇国でも言いましたが、イチローがいろいろな国を旅する予定。で、その邪魔をしないで欲しい。もし何か仕掛けたら、この国が地図から消滅するから。あっ、もちろんココに住む住人も一緒にね。」
セオリがサラッと狂気な発言をする。
法皇国も同じ目にあったのだと同情した一同であった。
「じ、邪魔などしませんよ。」
エルフの王がひきつり笑いをしながら答える。
「邪魔には監視も含まれてるからね。今は見逃してるけど、遠くから私達を監視してるの知ってるからね。今回は忠告だから、そいつらの髪を全て頂いてるから‥。後で確認しといて。次は首をね‥。」
セオリの目が一瞬光ったように思えた。
「肝に銘じておきます。」
エルフの王が深々と頭を下げた。
「では、またね。」
セオリは手を挙げると姿を消してしまってた。
後に残された者はまるで夢を見ていたかのように感じたのであったが、目の前に落ちている髪の毛を見て現実だったと思い知らされたのである。
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