第308話 忠告1
イチローに相談用の空間を用意したセオリは、その後各国の代表に秘密裏に接触していた。
[法皇国]
教皇と関係者が集まる場所に女が急に現れる。
突然の事で全員が動けずにいた。
「皆さん、こんにちは。私はイチローの妻のセオリと言います。以後お見知りおきを。」
セオリが優雅に挨拶を行う。
驚きのあまり中々言葉を発する事が出来なかったが、教皇だけが口を開く。
「セオリ様、今日はどのような要件でしょうか?」
教皇が問いかける。
「話は簡単だよ。イチローがいろいろな国を旅するから、その邪魔をしないで欲しい。もし何か仕掛けたら、この国を滅ぼすから。」
セオリからは異様な圧がかかる。
その圧に負けずに口を開いた者がいた。
「この国を滅ぼすだと!そんな事出来るわけがない。」
足は震えているがセオリに対して何とか叫ぶ事が出来た。
「ふ、出来るよ。だって私も神だからね。」
セオリがハナで笑ったかと思うと衝撃的な話をする。
全員が息を呑んだ。
「とにかく邪魔だけはしないでね。」
セオリが子供をあやすような言葉遣いではなしかけてくる。
「わかった。神に誓って邪魔はしない。」
目の前に神がいるのに、あえて神を持ち出して返事をする教皇。
「宜しくね。」
セオリが消えようとして、動きを止め1人の人間を睨みつける。
「あなたの部下が私達を調べてるみたい。あなたが命令したわけではないから今回は見逃すけど‥。あっ、何人かが屋敷に入ろうとしたからそこに連れてきてる。」
そう言うとセオリが隅にある机を指差す。
全員が机を見ると、そこには目を見開いて恐怖した表情の生首が並べられていた。
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