第282話 術式完成


カーラが身をよじるが微動だにしたなかった。


「どうして‥。」


思わず疑問を口にする。


『己の胸に聞きなさい。ウィットの件を私が知らないとでも思ってますか?』


大天使の凍りつくような声が頭に響く。


もう全く身体を動かす事が出来ない。


カーラの目から涙がこぼれる。


「た、たすけて‥。」


最後まで反省する事はなかった。


結界が完成後、天使長達が中央部のカーラの元に向かう。


中央部には巨大な水晶がまるで墓標のように地面に突き刺さっており、その中にはカーラが入っていた。


天使長達は驚いていたがカーラを助けようとする者は現れない。何故なら大天使の決めた事に口を出せる者はいなかったからである。


巨大な結界が出来た事でモンスターの発生が抑えられ、結界内で弱体化された残党は全てドラゴンと妖怪に倒された。


ようやく長い戦いは終わった。


ドラゴンや妖怪達は喜んでいたが、ウィット達天使はスッキリしない気分であった為、笑顔にはなれなかったのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る