第259話 お願い


ウィットは考えた。

指輪を持った敵を倒すのに特にルールは存在しない。

助っ人を呼ぶのもアリかも‥。

特に禁止させれなかったし、目的を果たす為には万策を尽くす必要がある。


私は失敗した任務以降、連絡していなかった仲間に連絡を入れるのであった。


「レーナ、聞こえますか?」

私は天使の輪を使って、数年ぶりに仲間を呼び出す。


「ん゛!ウィット!?」

普段冷静な仲間が大声をあげるのを初めて聞いた。


「久しぶりです、レーナ。」

こうやって自分から連絡する事は初めてだったので少し照れてしまった。


「生きてたの!?」

レーナの声を聞いて懐かしく思ってしまう。


「はい。死にかけて、頭が狂って、奴隷落ちしましたが何とか生きてます。」


私はかつての仲間を安心させる為に、今までの事を簡単に説明した。


「ど、奴隷落ち!?」

レーナの声がさらに大きくなる。


「そんな事より、お願いがあります。」


「そんな事!?奴隷落ちだよ!ねぇ、何があったの?何で貴女が追放されたの?ねぇ、説明して!!」

レーナから必死さが伝わってくる。


「ゴメンなさい、今は説明する時間がないの。時間が出来たら説明するから‥。」


「‥‥‥わかった。貴女が他の天使に助けを求めるのは初めてだよね。困ってるんでしょ?私は何をすれば良いの?」


レーナの言葉を聞いて涙が溢れてきた。


「大丈夫?ウィット、泣いてるよね?そんなに辛い状況なの?」

レーナが心配してくれている。

こんなに仲間を持った事を有難いと思った事はない。


「指定するポイントに来て下さい。スタンピードが発生していて、私の大事な人が困っています。」


「わかった。すぐに向かうよ。」


「ありがとう‥。」


「落ち着いたら、その大事な人を紹介してね。」


「はい、とても素敵な人です。今回頑張れば、その人の子供を産めるかもしれません。」


私はレーナの優しさが嬉しくて、つい子供の事を話してしまった。


まさか、この一言があんな騒動を引き起こすとは思いもしなかった。

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