第258話 天使の悩み
私、ウィットは無気力である。
天使として生まれたが親がいる訳でもなく、どちかと言えば発生した感じだ。
天使の世界ではいろいろな教育を受けたが、どれもピンとこなかった。
要約すると悪魔は悪いヤツだから殺す必要があるとかないとか‥。
天使って高貴な存在なはずなのに相手を殺すとか物騒な事を強要される。
何かやる気になれなかった。
そんなフワフワした感じなので任務に失敗してしまった。
で、奴隷落ち。
奴隷の時は頭が狂ってたみたいだから特にその時の記憶はなかった。
イチロー様に頭も翼も治してもらい、妻にしてもらった。
天使には生殖器官がなく子供は出来ないらしい‥。
たまに他のお嫁さん達が愛おしそうにお腹を撫でているのを見て、胸の奥がチクッて痛む。
天界での教育で痛みには強くなったが、この胸の痛みは耐えられそうになかった。
何とも言えない感情が私の中で大きくなっていく。
ひとりで過ごしていると感情を制御出来なくなる事があったが、そういう時は必ずセオリ様が現れて相談にのってくれる‥。
そのセオリ様の口から私にも子供が出来ることが伝えられる。
私にも子供が!?
あの、お腹を撫でる行為を私も出来るの??
何だ、この感情は‥。
目の前のコイツらを倒せば、私にも赤ちゃんが‥。
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。
嬉しさが込み上げてくる。
殺すだけであの気持ちを味わえるなら、私は生まれて初めて本気を出します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます