第189話 王妃選び39
「とにかく2人が無事で良かったよ。」
「あの‥」
『あっ、お兄ちゃんボクの事、信用してなかったの?』
イブキが口を尖らせて抗議する。
「だって目の前で骨をバキバキに折られたんだよ。治るとは聞いていたけど、さすがに引いたよ。」
「あの‥」
気がついたら小豆洗いが俺の服を引っ張っていた。
やべ、全然気が付かなかったよ。どんだけ影が薄いの‥。
「先程から2人2人と言われてますが、私を忘れていませんか?」
うん、忘れていました、御免なさい。心の中で小豆洗いに謝っておく。
とりあえず、この場の雰囲気を変える為、小豆洗いを抱きしめて誤魔化すことにする。最初はバタバタ抵抗したが、頭を撫でると大人しくなった。
「さて、次は2回戦かな?」
イブキに話しかけるが返事はない。
「どうした?」
『どうもやり過ぎだと思ったらしくて、彼女が無理やりコチラに来ようとしてます。あっ、やっぱり来ましたね。』
イブキの言葉が終わった瞬間、スパッと空間が裂け黒い着物の女性が歩いて出てきた。
彼女が現れた時から、この場の温度がどんどん下がっていき、見える範囲の足元が凍ってしまった。
見た目は雪花が妖艶な大人になった感じで、もの凄く色っぽい。思わず見惚れてしまう‥。
黒い着物の女性が右手を構えると巨大な氷柱が緋莉に向かって飛んでいった。
先程は微動だにしなかった緋莉が胸元から笏を出して攻撃を防いだ。
「何のつもり?」
緋莉が攻撃してきた女性に尋ねる。
「よくも私の可愛い妹を痛ぶってくれたわね!突然異世界に呼び出されて、旦那や子供が出来たのは百歩譲って我慢したけど。
可愛い妹の骨をバキバキに折って半殺しにするとは‥。可愛い妹が許しても私が許さない!!とりあえず死ね!!」
女性はヒステリックに叫ぶと攻撃を再開する。
「雪花、お姉さんいたの?」
「はい‥。どこにいくのにもついてくる姉で‥。当然のようにお風呂にも入ってきましたし、トイレにも入ってくるので‥。」
雪花が何かを思い出したのかプルプルと震え出した。
うわー、極度のシスコンかぁ。
「緋莉が押されてるみたいだけど、お姉さん強いの?」
「姉は雪姫と呼ばれていて、雪女の頂点に立つ存在です。」
成る程、だからなのか‥。お姉さんが来てから大妖怪達の殺気が膨れ上がってきたのは‥。小豆洗いが殺気にあてられて気絶してるよ。
そこからイブキにお願いして、お姉さんを強制的に止めてもらい、何とか話し合いが出来る状態にしてもらった。
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