第188話 王妃選び38


今までピクリとも動かなかった緋莉が恐ろしく冷たい口調で言葉を発した。


「平伏せよ。」


すると雪花と璃水が見えない何かに押さえつけられたかのように地面に這いつくばる。

2人とも何とか抵抗しようとするがどんどん地面に埋まっていく。


「明日香、アレは緋莉の攻撃なの?」


「はぁ?アンタ馬鹿なの!?あんなの攻撃でも何でもないわよ。ただ霊力で押し潰してるだけ。そもそも手すら動かしてないのよ!もう反則よ!!」

明日香が怒ったように言い放つ。


その後、辺りに『ボキッ!ボキッ!』って音が響く。


『璃水、リタイア!』

イブキが璃水の負けを宣言する。


今の音って骨が砕けた音だよね‥。死なないとはいえ痛みはあるだろうから可哀想だよな。


「雪花、負けを認めて。」

緋莉が感情のない声で雪花に呼びかける。


「い、嫌です!」

雪花は何とか起きあがろうと歯を食いしばって力を込めるが立ち上がれそうにない。


雪花の身体からバキバキと音が聞こえた。どこかの骨が折れてのだろう‥。

それでも雪花は諦めずに立ち上がろうとしている。


さすがにここまで一方的だと見るに耐えないなぁ‥。

どことなく緋莉も苦しそうな表情をしている。


俺は耐え切らなくなり、イブキに試合を止めるように心の中で指示を出す。


イブキがやれやれって表情をして試合を止めさせる。

『ここまで!雪花はすでに限界を超えていますのでリタイアとします!』


その後、雪花がまだやれたとイブキに詰め寄ったが『ボクがルールです!』の言葉と物凄い圧で、無理やり納得させられていた。


「イチロー様、申し訳ござません。」

雪花が泣きながら頭を下げてくるので思わず雪花を抱きしめてしまった。


雪花が落ち着くまで抱きしめて頭を撫でてあげたら、璃水が拗ねしまい機嫌を直すまで時間がかかってしまった。

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