第156話 王妃選び6


 王妃選び、人間代表戦の第一試合は俺に対する『嫌がらせ』が課題になった。


何の脈絡もなく嫌がらせをするのは厳しいので、セオリがシチュエーションを用意する。


「シチュエーションはイチロー君へ紅茶を出すです。では、張り切って参りましょう!!」

セオリの宣言で戦いが始まる。


まず紅茶を持っきたのはレイペルだ。


レイペルが慣れない手つきでお茶を運んでくる。ティーカップがカチャカチャ鳴って、微笑ましい感じだ。


「どうぞ、イチロー様。」


嫌がらせに身構えたが特に何も起きない。俺の前にお茶が出される。

ん?何も起きないけど‥。


「イチロー様、お砂糖入れますね。」


「じゃー、一つもらおうかな。」


するとレイペルは笑顔で砂糖をスプーンですくい紅茶にいれる。


一杯、二杯、三杯、四杯‥‥‥二十杯入れたところで手が止まる。


さすがに二十杯も入れたので紅茶がドロドロになった。


「あ、ありがとう‥。」

紅茶を飲み干す。


甘い!甘すぎる!!

でも飲めなくはないんだよなぁ。

激辛なら吐き出すと思うけど‥。


「終了!」

セオリからストップがかかる。


するとレイペルが泣きながら謝ってきた。

「イチロー様、申し訳ございません!」


「いや、そんなに謝らなくて大丈夫だよ。」


その後、レイペルが泣き止むまで頭を撫でてあげた。


この子はええ子だと思うのであった。


ちなみに次のシャールも同じように砂糖を入れてきた。

何、この世界の子達はこのレベルでしか嫌がらせ出来ないのかなぁ。


シャールもええ子だった。

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