第129話 乗っ取り


某大魔王様のセリフと共に現れた1人の女性。

金髪ポニーテールにミニスカのスーツ。

この世界では履いてるのを見たことがないハイヒール。

眼鏡をしてるし秘書って感じだけど、どちらかと言うとエロビデオとかに出てくるセクシー系かなぁ。


「イチロー君、どうかな?私綺麗?」


それって口が裂けた妖怪のセリフだよ。


「失礼ね、誰が妖怪よ!」


げっ!心の声をよみやがった。さっきの召喚のこともあるし、妙に自信がありそうな表情が気になる‥。

そういえば、さっき神様を声を遮ったよね。自ずとこの人の正体が導き出される。


「お初にお目にかかります、上位神様。」


俺の言葉にヘラヘラしていた顔が真顔になる。


「エヘヘ、やっぱりバレちゃった?」


「まぁ、これだけ状況証拠が揃えば‥。」


「そもそもイチロー君が悪いのよ。力を込め過ぎたせいで鑑定の子がオーバーヒートして消えそうだったから私が乗っ取っちゃった。流石に神界も慌てちゃって、まぁもともと興味あったから私がきちゃった。テヘ。」

ウインクしながら舌を出す。


可愛いんだけど、何か言動や仕草が古いんだよね。


「あっ、でも安心して。こっちでは力は使わないから。こんな世界、瞬き一つで滅ぼせるから。」


コワ!ドンだけだよ!

絶対に逆らったらダメな人だ。

あっ、人じゃなかった、神だ。

とりあえず話題を変えよう。


「紬とお呼びすれば宜しいですか?」


「う〜ん、嫌かな。そもそも紬は鑑定の子の為につけた名前だよね?出来れば私専用の名前がいいかな〜。お願い!」


何か上位神に頼まれたよ。

物凄くプレッシャーを感じるけど、名前を考えてみよう。


何かイメージでもわけばいいんだけど‥。

あっ、閃いた!

響(ひびき)はどうかなぁ。


「それは初恋の人だよね?却下!」


だから心をよまないで!

じゃー神威(かむい)とか。


「う〜ん、結構好きだけど男の子っぽい名前だよね。あっ!イチロー君との子供にピッタリ!!キープしとく。」


ん?俺との間に子供を作る気なんだ。

そもそも結婚もしてないのに‥。

あと神同士で子供作れるの?


「もちろん結婚するし、子供作れるよ。だから安心して!」


思わずツッコミそうになったけど、ギリギリで踏みとどまる。

心の声がダダ漏れだからここは無心にならないと‥。


神樹(みき)ってのはどうかな?


「おしい!それは娘にキープ!」


『神』って字にこだわる必要はないか‥。

頭を空っぽにして、漢字にこだわらなくて‥。

そういえば昔、気になった名前があったなぁ。

たしか、瀬織津姫(せおりつひめ)だったよな。

ここはあえて瀬織ではなく、セオリってのはどうかな?異世界っぽくない?


「セオリ、いいですね。やれば出来るじゃない!気に入ったわ!!」


良かった、かなり気に入ってくれたようだ。


「改めて、セオリ様。今後とも宜しくお願いします!」


「もう!夫婦なんだからセオリって呼んでよ。今度『様』つけたら怒るからね!」


「はい!気をつけます!!」


「敬語も禁止ね!」


「わ、わかった。これから宜しく。」


時間がかかったが、何と名前付けが終わった。

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