第123話 暴挙後1


 神様と会話が終わると意識が覚醒する。

目の前には舌を切られた痛みで涙をながしているフォルクがいた。

よく見ると失禁しているのがわかった。

今回の件を死んで反省させる為、少しずつ切り刻んでやろうと思っていたが泣き喚く姿を見てその気が失せてしまった。


首を一気に切り落とす。


フォルクを殺した事でイチローは少し落ち着くことが出来た。


その後、全員と合流する。


「生存者は?」

イチローが問うが、全員が申し訳なさそうに首をふる。


いろいろ思うところはあるが、遺体をそのままにするとゾンビなどになる為、敵味方関係なく一旦収納することにする。

仮に生きていれば収納する事が出来ないので、その機能を使ってより正確な生死の確認を行う。

璃水以外には周辺の警戒をお願いする。


遺体は無惨に殺されたせいで殆どが目を見開き苦悶の表情を浮かべている。

それから村中を回って遺体を収納して周るが生存者は見つからなかった。


遺体を収納していると、なぜか違和感を覚える。収納した遺体のことを思い浮かべる‥。

そして、遺体の中に子供が含まれていない事に気がついた。


皆を集めて子供の捜索を行うが見つける事が出来ない。

このままでは埒があかないので、生存者の女性に聞く事にする。


「すまないが、起きてくれ!」

「はっ!お父さん!!」


イチローが声をかけると、生存者の女性が意識を戻しながら叫び声を上げ、父親を探して辺りを見回す。


「ここで誤魔化しても仕方がないのでハッキリ言うが、君の父親はフォルクに殺されていた。」


それを聞くと生存者は女性が涙を流す。


「悲しんでいる時にすまない。君以外は全員死んでいた‥。ただ、遺体の中に子供がいないんだ。この規模の村に子供が1人もいないのは変なんだ。もしかしたら何処かに隠れているとかない?もし知っているなら教えてほしい。」


イチローの言葉を聞いて、虚ろだっ女性の目に力が戻る。


「子供をどうするつもり?まさか売る気!!」

女性がイチローの胸ぐらを掴む。

明日香が一瞬反応しようとしたが、イチローが目で制する。


「このまま放置は出来ない。とりあえず俺の方で保護しようと思う。」


「何が狙い?」

女性がイチローを睨む。


すると明日香が口を挟む。


「あんた何様なの?イチローは助けに来たのよ?疑ってる暇があるなら子供のところに案内しなさい!!早くしないと助かる命も助からないわよ!」


明日香が本気の殺気を飛ばしたので女性はその場に尻餅をついて、ガタガタと震えだす。


「明日香だめ!普通の子に殺気飛ばしたらダメだよ。」

イチローが注意をすると明日香が殺気をとく。


「とにかく詳しい話は助けた後にするから早く案内して!」


女性もイチローの真剣な顔を見て、おもむろに立ち上がって子供達のところに案内するのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る