第121話 暴挙3


 俺は瞳からフォルクの虐殺行為を聞き、慌てて村長の屋敷に鏡渡りで向かった。


部屋に入ると男女が血だらけで倒れていた。よく見ると男の方が女の上に倒れ込んでいた。


「イッチー!この娘まだ息があるっす!」


璃水が駆け寄って万能薬を塗り込む。


「絶対に死なせるな!俺の力はいくら使ってもいいから!!」


俺は璃水の肩に手を置き、ありったけの力を注ぎ込む。


「おー、力がみなぎってきたっす!これならいけるかも!って、もういらないっす!イッチー止めて!」


璃水が何かを言っているが俺には聴こえていなかった。神になったことで得た無限の魔力を璃水に流し込む。


すると明日香に思いっきり殴られた。


「璃水を殺す気?」


璃水を見ると涙を流しガタガタと震えていた。


「すまない、少しぼーっとしていた。」


明日香が俺の体を揺らしながら

「イチロー、落ち着きなさい!外にはまだ敵がいるのよ!アンタが冷静にならないでどうするの?」と文句を言ってくる。


とにかく外の敵を排除しなければ‥。


「今から外の敵を一掃する。行くのは俺と緋莉、明日香、八重花、咲夜、メア、ウィット、プリムラにする。メアとプリムラはブレスは吐くなよ!村が壊れてしまう。」


「敵は生かしますか?」

咲夜が冷たい目で聞いてくる。


俺もここまでされたのだ、腹を括る。

「敵は全て殺してくれ!ここで許せば、将来俺たちの子供達に何かあるかもしれない。」


全員が無言で頷いてくれる。


「リーン、リースは刀に戻ってくれ!フォルクは俺がやる!」


俺は刀を腰に差し、外に飛び出した。

緋莉が何か叫んだようだが、俺には聞こえなかった。


その男はすぐに見つかった。

広場に鎧をつけた騎士が10人と1人だけ服の男。

よく見ると倒れた人間に笑いながら剣を突き立てていた。


プチっと何かが切れる音がしたような気がした‥。

俺は何かを叫びながらその集団に突っ込む。

一人の騎士が剣を抜き、切りかかってきたが魔力を存分に与えた刀で鎧ごと真っ二つにする。

他の騎士が飛びかかっくるが、刀で斬り伏せていく。

俺が怒りに任せて力を流し込んだことで、刀は黒く変色し、どす黒いオーラを纏っている。


1人また1人と騎士を斬り、気がついたらフォルク1人になっていた。


「お、お前何者だ?俺に逆らっていいと思ってるのか?」


コイツの声を聞くと無性にイライラする。

思わず舌を切り落とす。

男は何かを叫んでいるが舌を切られた事で良く聞こえない。

このまま死なせるわけにはいかないと考えた瞬間、俺は意識を失った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る