第104話 激突1


 かなりご立腹の明日香様に、イチロー様の奥様達が応接室に集められる。


 席の配置はいつぞやの家族会議の時と同じだった。その時との違いといえば、被告人がイチロー様ではなく、法皇国の第一王女のカタリーナ様であった。

あの時はイチロー様はかなり追い詰められた表情をしておられましたが、カタリーナ様は堂々としておられます。


 何だろう、とても嫌な予感がします。皆さん殺気立っていて、今にも飛びかかりそうなオーラがします。


ニーナ「イチロー様をお呼びした方がよくないですか?」

私は勇気を振り絞って、提案してみます。


緋莉「いらない!」

明日香「必要ない!」

すわった目で即答させました。


イチロー様、皆さんが怖いです…。


とりあえず全員が揃ったので、話し合いが始まる。


カタリーナ「皆さんがお揃いのようですので、早速始めましょうか。」

カタリーナさんが和かに開始を宣言する。

どうしてそれをお前が言うのか!的な突っ込みは入らないが、皆さんの負のオーラが増す。


明日香「で?私達を集めた理由は何?回りくどい説明とか要らないから!!何が目的?」

明日香さんが先制攻撃!


カタリーナ「では、端的に言います。使徒様の妻は私一人いれば充分です。お金は十分に渡しますので、皆様は別れて下さい。

カタリーナ様の反撃!!

巨大な爆弾を投下。

あまりに馬鹿げていて、皆さんが固まっています。

あっ、応接室が凍りつきました。


雪花「本気で言ってますか?」


カタリーナ「もちろん。あなたはいくら欲しいですか?」


カタリーナ様、それは悪手です。雪花さんが本気で怒ってますよ。

ほら、言わん事ない。


雪花が巨大な氷柱をカタリーナに向けて放つ。

さすがにいきなり攻撃されるとは思っていなかったカタリーナの反応が遅れる。

カタリーナに直撃する直前に、巨大な蛇が氷柱を咬んで止める。


雪花が八重花を睨みつける。


八重花「落ち着いてください〜。一応、一国のお姫様ですよ〜。殺したら駄目ですよ〜。殺したら‥。」

顔は笑っているが、目は笑ってない。

その言い方だと、殺さなければボコボコにしていいように聞こえます‥。


璃水「皆んな落ち着くっす!お姫様も冗談が過ぎますよ。」


カタリーナ「私が冗談なんか言うわけないでしょ?頭大丈夫ですか?」


璃水「‥殺すっす!!」

璃水が水の塊を投げつけるが今度はイリスがカタリーナを庇う。


イリス「挑発にのらないで下さい。皆さん冷静に!」


カタリーナ「エルフに助けられるとは‥、世も末ですわ。」

カタリーナがさらに挑発する。


あっ、イリスさんがキレそうだ。

もうしっちゃかめっちゃかである。


緋莉「落ち着いて!」


緋莉さんの一言で場が静かになる。

カタリーナさんも緋莉さんがリーダーだと察したようだ。


ふぅ、やっと静かになった。


明日香「みんなに喧嘩売って何がしたいの?そもそもイチローと別れるわけないでしょ!」


カタリーナ「やはり駄目ですか‥。ハッキリ言いますが、使徒様には聖女の私が相応しいのです!!見たところ人間では無さそうですし、エルフも獣人も使徒様には相応しくないのです!」


あっ、獣人を馬鹿にしましたね!

わ、私だって怒りますよ!!


ニーナ「イチロー様は、種族なんて気にしません!そもそも、貴方は使徒、使徒、使徒、使徒煩いんです!!私達は使徒とか関係なくイチロー様を愛しています!貴方は使徒って肩書きが好きなんでしょ?」


カタリーナ「当たり前でしょ!使徒でなければ、誰があんなオッサン‥。」


「「「「「殺す!」」」」」


咲夜「ハイ、ストップ。」

皆んながカタリーナに飛びかかろうとするが、彼女の一声で体が動かなくなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る