第102話 訪問9
一度休憩を挟んでアメリアに落ち着いてもらう。
「イチロー様、大変申し訳ございません。」
「大丈夫?急がないから無理しないでね。」
「‥‥どうして、そんなに優しくしてくるのですか?」
「うーん、僕の住んでた世界では女性に優しくするのは当たり前だったからね。習慣みたいなものだから、気にしなくていいからね。」
「はい、ありがとうございます。」
「本題に戻るけど、合わせて欲しい彼とは誰のことかな?良かったら詳しい話を聞かせて欲しい。」
アメリアが悲しい表情で語り出す。
「私には婚約者がいました。親が決めた相手でしたが、文で交流するうちにお互いのことを意識するようになりました。何度か会う機会はありましたが、彼が体が弱かったのでなかなか会うことが出来ませんでした。」
ん?まさか会ったことないのか‥。正直、突っ込みを入れたいが話の腰を折るのもアレなのでとりあえずキープしておこう。
「その後、彼が体調を崩したと聞いて何度も面会しようと試みましたが、結局会えませんでした。そして、先月‥亡くなったと連絡がありました。」
アメリアがまた泣き出す。
何だろう、凄くきな臭い。もう俺の直感がビンビンだよ。
「もしかして、アメリアさんは死んだ彼に会わせて欲しいって言ってますか?」
「はい!使徒様ならもしかしたら死者を蘇生出来るかと思い、お願いにあがりました!!」
目を見開いて、期待してます!的な表情でイチローを見てくる。
「ごめんなさい。使徒と言っても一般人とあまり変わらないんだ。死者を蘇生する力なんて俺にはないです。」
するとアメリアが絶望的な顔でうなだれる。
「何とかなりませんか、イチロー様?」
コルベルトが無責任にお願いしてくる。
「とりあえず、アメリアさんのこと調べてもいいですか?まずはそこから始めましょう!」
後は鑑定だよりだなぁ。
「会わせて頂けるなら、体の隅から隅まで見て下さい。脱げとおっしゃるなら脱ぎます!!」
それだとまたレイペルの悪夢再来だから。
「脱ぐのはお断りします。とりあえず見ますので大人しくして下さい。」
「では、始めます。『鑑定』」
【名前】アメリア
【年齢】317歳
【種族】ハイエルフ
【性別】女性
【状態】焦燥
【経験人数】0
【スリーサイズ】88・52・89
【スキル】家事、計算、統治、カリスマ
【魔法】火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、光魔法
【その他】
久しぶりの鑑定ですね。もう忘れられたかと思いました。酷いです!
あっ、鑑定さんが拗ねた。
『ごめんなさい!鑑定さんだけだ頼りなんだ。助けて下さい!!お願いします。』
【名前】アメリア
【年齢】317歳
【生立】ザユド国、第二王女
【種族】ハイエルフ
【性別】女性
【状態】焦燥
【経験人数】0
【性感帯】耳全般(特に裏側)、わき、****
【スリーサイズ】88・52・89
【スキル】家事、計算、統治、カリスマ
【魔法】火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、光魔法
【その他】
そこまでお願いされたら頑張っちゃう!
この娘は良い子よ。性格も良いし、つくすタイプかな。子煩悩だし、お嫁さんにしたら?
さて、本題だけど‥‥死んだ彼はそもそも存在しないのよ。とある貴族の子供がアメリアを気に入ってどうしても妻にしたくて子供のいない貴族を脅して架空の彼を作り出したの。そして仲良くさせて結婚間近に病死させ、失意のアメリアを手に入れるって卑怯な策略。サービスだからこの先の事を教えてあげる。
イチローが何もしなければ、糞貴族と結婚して、不幸な一生をおくることになるよ。
ちなみにアメリアのお父さんは策略に気がついてるけど、何もするつもりはないみたい。さぁ、イチローはどうする?
アメリアを『見捨てる?見捨てない?』
思わずイチローが頭をかかえる。ツッコミどころが多すぎて、どう対処していいかわからない‥。
でも見捨てることは出来ない。イチローはアメリアに鑑定の結果を伝える。
「アメリア様、イチロー様が言ってることは本当だと思います。使徒様ですので嘘は言いません。」
「きっと事実なんでしょうね‥。あれだけ努力しても会えなかったし、お父様の様子もおかしかったですし‥。それに使徒様が嘘をつくとは思えません。」
アメリアがボロボロと涙を流す。コルベルトが何とかしろ的な視線を送ってくる。
イチローはアメリアの横に立ち、頭を撫でてあげる。するとアメリアがイチローに抱きつき号泣する。
イチローはアメリアが泣き止むまで背中を撫でてあげる。
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