第100話 訪問7
イチローがコルベルトに詰め寄っているとお付きのメイドから声がかかる。
メイド「コルベルト様、お客様がお待ちしておりますので、そろそろ話を進めて頂きたいと思います。」
メイドがお申し訳なさそうに頭を下げる。
コルベルト「そうだった、危うく忘れることろだった。」
イチロー「では、失礼します。」
イチローが屋敷に戻ろとするが、コルベルトに腕を掴まれる。
コルベルト「何処に行くつもりかな?お客様が待ってるよ。」
イチローが振り払おうとするがビクともしない。
イチロー「離してください!もう厄介事は嫌なんです!!」
イチローが必死に懇願する。
コルベルト「気持ちは分からなくはないが、今回は国の威信がかかっているので無理かなぁ…。」
コルベルトが真剣な表情でイチローをみてくる。
これは断れない雰囲気だ…。
イチロー「分かりました。とりあえず紹介して頂けますか?あっ、さすがに外では失礼ですね。応接間は使用中ですので、パーティールームにいらして下さい。」
お客様をパーティールームに案内して、お茶でも出そう。
あっ、ステアがいない。
うーん、応接間にいないメンバーで手伝いが出来そうな子がいない…。
こうなったら俺が自らするしかないか。
お茶とお菓子を用意してパーティールームに向かう。
お茶はフライスさんから取り寄せた高級茶葉を使い、お茶菓子には試行錯誤の結果、だいぶ本物に近づいたアップルパイを出す。ちなみにシナモンに近いものは見つけたが、個人的に好きではないので入れてない。
さて準備が出来たので、パーティールームに向かう。
パーティールームに入るとコルベルトさんと女性が2人が立っていた。よく見る部屋の隅に騎士とメイドさんが控えている。
イチローがお茶とお菓子をワゴンに乗せて運んでいると一同が驚いた顔をする。
コルベルト「当主自らお茶を入れるのかい?」
さすがにまずいと思ったのか控えているコルベルト付きのメイドさんが手伝おうとするがイチローが手で制する。
イチロー「生憎、我が家のメイド長が不在ですので…。まぁ、私自身こういうのが嫌いではないので、お見苦しいと思いますが
我慢して下さい。」
そう言ってイチローが慣れた手つきで紅茶を入れていく。ちなみにイチローの淹れ方は異世界では珍しいみたいなのでメイドさんが珍しいものを見る目で観察してくる。
面倒なので、コルベルト達以外にもお茶を振る舞う。ちなみに騎士達にはアイスティーを渡している。兜はとっているが、鎧を見ていて暑苦しいので。
コルベルト「こ、これは美味しい。」
???「お替り!」
???「使徒様が淹れたお茶がこんなに美味しいとは!?まさかこれは神からの贈り物では…。」
イチロー「神様は関係ないです。あっ、騎士さんもせっかくなので飲んで下さい。」
騎士達が畏まってなかなか飲んでくれない。仕方がないのでコルベルトさんに目配せをして、促してもらう。
コルベルト「使徒様からの申し出だよ。断ると呪われるかも…。」
コルベルトが揶揄いながら勧めると騎士達が慌ててアイスティーを飲み干す。
あー、高い茶葉で淹れたのに。あんなに一気に飲んで…もったいない。もう少し味わって欲しいなのに。
騎士「美味しいです。こんなに飲んでスッキリするのは初めてです。口当たりも良くて、飲みやすいです。これなら沢山飲んでも大丈夫そうですね。」
いや、食レポうまい!!
イチロー「あと、これも食べて下さい。」
イチローがアップルパイを勧める。
今度は誰からも反応がない。
みんなが黙々とアップルパイを食べ続ける。
おかしい、嫁達には好評だったんだけどなぁ。皆んなには口に合わなかったかな?
???「お、お替り!!お茶よりもこれをもう一つ欲しい!!」
コルベルト「あっ、ズルイ!私にも一つ頂けないかな?」
メイド「お願いです!作り方を教えて下さい。」
???「この食べ物は誰が作ったのですか?」
お替りをあげたいけど、これ以上は妻達の分だからなぁ。なくなったら絶対に怒られるから…。
イチロー「ごめんなさい。今日はこれで終わりなんだ。次に機会があればまた作るので。あと作ったのは俺だよ。レシピについてはまだ完成してないので渡せないかな。」
全員が肩を落とす。
いや、どれだけ食い意地がはってるの!!
イチロー「とりあえず、お二人を紹介してもらっていいですか?」
イチローは本当は聞きたくないのだが、話を進めないと埒が開かないのでコルベルトに促すのであった。
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