第91話 震撼2
エルフの国(ザユド)にも、使徒降臨の知らせが届いた。
エルフの王「ほ、本当なのか?」
歳は20代ぐらい、痩せていて、色白、顔は女性のように美しい男性が、驚きの声をあげる。
側近「ホラント国からの知らせですので、信憑性はあるかと。」
エルフの王「使徒様の事は物語でしか聞いたことがなかったが、実際に降臨されるとは‥。」
エルフの王は掌にジットリと汗をかく。
エルフの王「どんな人物なのだ‥。何か情報はないのか?」
側近「詳しい内容はわかっていません。」
エルフの王「情報が欲しい!何か調べる手立てはないのか?」
エルフの王が珍しく焦った様子をみせる。
側近「ホラント国には、イリス様が居られるはず。調べてもらいましょう!」
エルフの王「イリス?」
エルフの王が懸命に思い出そうとするが、顔が浮かんでこない‥。それもそのはずエルフの王には何百人も妻と子供がいて、いちいち覚えてられなかった。
側近「第八王女様です。」
エルフの王「とにかく、使徒様を調べさせてくれ!」
側近「わかりました!」
エルフの王「それと、可能であれば籠絡してくれと伝えてくれ。」
側近「本気でしょうか?」
側近が驚いた声をあげる。
エルフの王「使徒様が我が国の姫と結婚し、子供を作ってしまえば、法皇国に一泡食らわせることが出来る。これ程楽しいことはないぞ‥」
エルフの王が薄ら笑いを浮かべる。
側近達もそれを見て、冷や汗をかく。
エルフの王「現時点で、序列十位内で相手が決まっていない姫は?」
側近「第五、第七王女様になります。」
エルフの王「そんなに少ないのか?」
エルフの王が不満げな顔をする。
側近「第一、第四王女様は既に結婚されています。第三王女様は婚約が決まったばかりです。」
側近の言葉を聞いて表情を曇らす。
エルフの王「そういえば、アメリアはどうした?」
側近「第二王女様は、婚約者様が病死なされてずっと部屋に籠っています‥。」
側近が困ったよう声を出す。
エルフの王「それは使えるな‥。使徒様が優しい方なら同情するかもしれないな‥。」
それから数分考えてから、側近達に対して檄を飛ばす。
エルフの王「イリスには早急に使徒様を籠絡させろ!手段は問わない。後、アメリアをホラント国に向かわせろ。」
側近「アメリア様は寝込んでいらっしゃますので難しいかと‥。」
エルフの王「アメリアには、使徒様なら人を生き返らせる事が可能かもと伝えておけ。あくまでも可能性があるとだけ伝えろ!」
側近「わかりました。」
エルフの王「面白くなってきた。最近は平和になって退屈していたんだ。やはり何かないと退屈だよな‥。」
エルフの王がその顔にそぐわない、ぞっとするような笑みを浮かべる。
その頃、イチローの方では。
イチロー「あれ?割れたカップが、さらに粉々に砕けたよ‥。どうなってるの??」
イチロー「咲夜、何か悪戯した?」
咲夜「心外です‥。」
イチロー「ごめんごめん。」
イチローが咲夜の頭を撫でてご機嫌を取ろうとすると、イチローの眼帯の紐が切れる。
緋莉「不吉。」
イチロー「またまたー。」
イチローが笑って場を和ませようとする。
ゾン「馬鹿な!魔物の糸で作った紐が切れるなど‥。」
「「「「「「嫌な予感がする。」」」」」」
きっとまた何か起こるであろうとさらに数人が腹をくくる。
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